『黄金の私の人生』（2018年）

　苦しい生活を送りながら夢を諦めようとする4人兄弟の家族の中に、異なる両親の財閥令嬢が混ざっていたことが発覚するところから始まる長編ドラマ。韓国での最高視聴率は40％超えの大ヒット作と言われており、百想芸術大賞では複数の賞にノミネートされた。家族の在り方や、人生の歩み方を問いかけてくるような作品で、恋愛、ヒューマン、サスペンスと様々な要素がてんこ盛りとなっている。

　財閥一家の運転手として、ウィ・ハジュンは出演している。長年の財閥での暮らしに不満を抱く、もう一人の令嬢に寄り添うキャラクターだ。徐々に距離を近づけていく二人は、見ていてドキドキが止まらない。さらに、少しづつ明かされていく彼の秘密が見どころで、演技の振れ幅にも注目頂きたい。

『ガール・コップス』（2019年）

　熱血刑事たちが、悲痛な事件を全力で追いかけるアクションコメディ映画。主人公の刑事は、叔母（ラ・ミラン）と義妹（イ・ソンギュン）という設定になっている。反発し合っていた彼女たちが、周囲を巻き込みながら一致団結していく姿が痛快で、豪華なカメオ出演も必見だ。

　ウィ・ハジュンは、犯罪組織のリーダーを演じる。怒りや苛立ちを抱えた狂気的な役柄で、怒り狂う姿は流石である。また、劇中で見せる恍惚とした表情が、目に焼き付いて離れない。

『コインロッカーの女』（2015年）

　コインロッカーの10番に捨てられた赤ん坊が、チャイナタウンの裏社会の一員となっていく様子を描いた映画。大人になったイリョンをキム・ゴウンが演じる。父親の借金によって彼女の母（キム・ヘス）に命を狙われながらも、自分の夢を追う青年（パク・ボゴム）に、恋心を抱いてしまうところから物語が狂い始める。血みどろの争いをくりひろげた先に見える、母の想いや暗闇でもがき続ける登場人物たちの心情が見どころだと思う。

　本作品は、ウィ・ハジュンの俳優としてのデビュー作と言われている。物語の序盤で登場し、裏社会の一員として演じる。セリフや登場シーンこそ少ないが、鋭い目つきと表情が印象的だ。

　最近日本公開となった映画『殺人鬼から逃げる夜』では、サイコパスな殺人鬼を演じるウィ・ハジュン。作品ごとに全く違った顔を見せてくれ、見ている人の心に爪痕を残していく彼の沼に、どっぷりと浸かりたくなる。

■配信情報
Netflixオリジナルシリーズ『イカゲーム』
Netflixにて全話独占配信
脚本・監督・演出：ファン・ドンヒョク
出演：イ・ジョンジェ、パク・ヘス、オ・ヨンス、ホ・ソンテ、ウィ・ハジュン、キム・ジュリョン、トリバティ・アヌファム、イ・ユミ