沢口靖子、『科捜研の女』と歩んだ歴史 「ハードルを越えていくことが毎年の課題」

 最長寿ドラマ『科捜研の女』の最新シリーズが、10月14日よりテレビ朝日系でスタートする。今回でシーズン21を迎えた本作は、科学を駆使して事件を解決する“科学捜査”をテーマにしたサスペンスドラマで、癖のある研究員たちのキャラクターや、最先端の捜査も魅力になっている。

 9月3日にはテレビの枠を超えて『科捜研の女 -劇場版-』として初の映画も公開。シリーズ未見の観客を置いてきぼりにしないエンターテインメント性と映画ならではのスケールの大きさ、さらにファンが喜ぶ仕掛けも盛り沢山とあり、現在も大ヒット中だ。

 そんな本作の主人公マリコ演じる沢口靖子にインタビュー。長寿ドラマとして本作が挑んできたことや、マリコの性格の変化について語ってくれた。(編集部) 

「熟成肉と一緒に吊られたこともありました(笑)」

――劇場版を経ての新シリーズとなりますが、放送を控えた今のお気持ちはいかがですか?

沢口靖子(以下、沢口):20シリーズの集大成として臨んだ劇場版も無事に公開をしまして、今、Season21の新たなステージが始まるという意気揚々とした気持ちです。劇場版はこれまでに経験したことのない険しい山を登ったような作品でしたので、ひとつ大きな山を越えて次のステージに立てる……そんな思いです。

――これだけ長く続いている作品でも、新シリーズの放送前には緊張感がありますか?

沢口:そうですね。やはり、ひとりでも多くの方に観ていただきたいという気持ちはありますし、反響はたくさんいただけると嬉しいです。

――1999年、Season1がスタートした当時のことを覚えていらっしゃいますか?

沢口:まず、“科捜研”という言葉を初めて聞きました(笑)。当時は、科学捜査をテーマにした作品が他になかったので、そんなところもおもしろいなと思いながら撮影していました。とにかくこの作品は、科学の進歩とともに、毎年進化しています。台本を読んでいて、あっと驚くような最新の科学捜査が登場することも多いんですよ。たとえば、顔認証システムであったり、ドローンを使った捜査であったり、ハンディスキャナーであったり。今では一般的になっていることも、ドラマが先行していたんですよね。時代を半歩リードしている作品であることを感じます。

――時代の流れを見せられるというのも、長寿ドラマならではのおもしろさかもしれないですね。

沢口:そうですね。最近では「フリマアプリ」や「YouTuber」「ハロウィン」など、まさに今をテーマにした作品なども描かれています。「科捜研」としての従来の作品の軸はしっかり持ち続けながら枝葉が広がっている感じがしています。長寿ドラマだからこそチャレンジできる世界ですね、とスタッフの方と話しています。

――初めから、これほど長くシリーズが続くと思われていましたか?

沢口:いえ、まったく思っていませんでした。頂いた台本1作、1作に向き合って充実して過ごしてきた感覚です。気が付いて、振り返ったら20年経っていたといいますか(笑)。この作品は1シーズンごとに進化しているので、展開も複雑になってきているんです。だんだん高くなっていくハードルを越えていくことが、毎年の課題でもありました。

――作品を拝見しますと、沢口さんご自身が体を張るようなシーンも多いですよね。

沢口:マリコの中にあるのは、科学で真実を見抜いて、その先に人を救いたいという気持ちです。そのためには、体を張ってしまう人。ですから私も、無茶できちゃうんです。

――マリコになっているからできる、ということですね。

沢口:そうです、そうです。過去には、熟成肉と一緒に吊られたこともありました(笑)。

――衝撃的なシーンですね(笑)。同じキャストの方で長くシリーズが続くというのも珍しいことかと思います。

沢口:新しいシーズンの撮影の初日には、みなさんと「昨日まで撮影していたような気がするよね」とお話するんです。とても馴染んだ現場という感じがしています。

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