『おかえりモネ』百音が心の内を話せる“明日美”という存在 対照的な2人の関係性

 未知(蒔田彩珠)が正にその毒に心を支配されてしまいそうになった際にさっと手を差し伸べたのも他でもない明日美だった。未知の亮への想いにも寄り添った上で、亮が抱く百音への絶対的信頼を認め、そこに全く敵意も負け惜しみも滲ませないあまりに素直な言葉で未知を包み、思いとどまらせる。さらに、菅波に誤解を招くようなことを言ってしまう未知の言葉を遮ったのも明日美だ。誰も望まぬ形で不幸になることがないように、何より未知が後悔し自己嫌悪する未来を避けるために、明日美は迷いなく最善の行動が取れる。誰に対してもどんな場面でも平等で、変な配慮も遠慮もせずに、思ったことはきちんと相手に“伝える”。言い捨てるのではない、“伝えられる”ところが彼女の何よりの魅力だろう。

 明日美の両親は気仙沼で唯一のスーパーマーケットを営んでいるようだが、明日美からは家族からの愛情を一身に受けて育った匂いが充満している。それを変に出し惜しむことも、負い目に感じることもなく、周囲にも知らず知らずのうちに振りまけるのが彼女だ。

 「幸せになるために生きている」ということに迷いがなく、もちろん遠慮もない。被災してそれぞれに(もちろん明日美自身も)心に傷を負った百音たち幼なじみの中に明日美がいることの心強さはどれほどのものだっただろうか。自分の“欲しい”や“やりたい”を臆せず言葉にできる彼女のことは百音にとっても眩しく羨ましかったに違いない。

 どうやら引っ越しの前夜、百音と明日美が飲み明かすシーンが描かれるようだ。明日美は百音が急に地元に帰る決意をしたことに対して、どんな想いを抱きどんなエールを送るのか。また胸に刻んでおきたい“すーちゃん語録”が飛び出す名シーンが生まれそうな予感でいっぱいだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:清原果耶、内野聖陽、鈴木京香、蒔田彩珠、藤竜也、竹下景子、夏木マリ、坂口健太郎、浜野謙太、でんでん、西島秀俊、永瀬廉、恒松祐里、前田航基、高田彪我、浅野忠信ほか
脚本:安達奈緒子
制作統括:吉永証、須崎岳
プロデューサー:上田明子
演出:一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子ほか
写真提供=NHK

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