公文書偽造疑惑に答えない大臣、諜報部による取材妨害も 『コレクティブ 国家の嘘』予告編

『コレクティブ 国家の嘘』予告編公開

 10月2日公開の映画『コレクティブ 国家の嘘』の予告編が公開された。

 本年度アカデミー賞のルーマニア代表として選出され、国際長編映画賞、長編ドキュメンタリー賞の2部門でノミネートを果たした本作は、ルーマニア・ブカレストのクラブ“コレクティブ”で2015年に実際に起こった火災を発端に、 命よりも利益や効率が優先された果てに起こった国家を揺るがす巨大医療汚職事件の闇と、それと対峙する市民やジャーナリストたちを追ったドキュメンタリー映画。

 監督を務めたのは、世界各国の映画祭で上映され数多くの賞を受賞した『トトとふたりの姉』のアレクサンダー・ナナウ。地道な調査報道を続けるジャーナリストを追う前半から一転、映画の後半では熱い使命を胸に就任した新大臣を追い、異なる立場から大事件に立ち向かう人たちを捉えていく。

映画『コレクティブ 国家の嘘』予告編

 予告編は、“コレクティブ”火災当時の死者は27名だったが、一命を取り留めたはずの入院患者が病院で次々に死亡、最終的には火災から3カ月で死者数が64名にまで膨れ上がってしまう様子からスタート。いち早く取材を始めた地元のスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」に寄せられた関係者の内部告発により、死因が火災時のやけどではなく感染症であることが明らかになる決定的瞬間や、記者が諜報部から“家族もいるだろ、気をつけろ”と脅迫めいた言葉を投げかけられたことを告げる場面、公文書の偽造疑惑に対してまともに答えようとしない大臣に対し、懸命に食い下がる記者達の姿が描かれる。

 映画の後半から登場するのが、新たに誕生した正義感あふれる保健省大臣。カメラは、事件に関わる政策を管轄する大臣として、腐敗の中枢でもある政府の中から事件に立ち向かう現職大臣にも密着していく。

 本作で撮影も担当したナナウ監督は、本作におけるほぼ全てのシーンの撮影を一人で行った。取材活動の妨害とも取れる言葉を投げかけられた記者とは違い、監督自身が身の危険を感じることはなかったものの、撮影中は自身も諜報機関により電話を盗聴されていたことを把握していたという。このため、本作製作中はフッテージ素材を厳重に管理しながらいくつもコピーをしたり、時には素材をルーマニア国外に運び出すなど、素材とプロジェクトを守る態勢で臨んでいたことを明かしている。そんな監督は、撮影する上で心掛けていることとして、「観客の皆さんが、これは誰かが撮影していることを感じさせないほどに、キャラクターと直接的な繋がりを持てるようにと考えています。映画でも小説でも素晴らしいストーリーテリングというのは、映画でも小説でも、ストーリーの中にいることを忘れてしまうものです。そういう風にすることが私の仕事であると思っています」と語っている。

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■公開情報
『コレクティブ 国家の嘘』
10月2日(土)シアター・イメージフォーラム、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督・撮影:アレクサンダー・ナナウ
出演:カタリン・トロンタン、カメリア・ロイウ、テディ・ウルスレァヌ、ブラッド・ボイクレスクほか
配給:トランスフォーマー
2019年/ルーマニア・ルクセンブルク・ドイツ/ルーマニア語・英語/109分(予定)/ビスタ/カラー/5.1ch/原題:Colectiv/英題:Colectiv
(c)Alexander Nanau Production,HBO Europe,Samsa Film 2019
公式サイト:transformer/m/colectiv 
公式Twitter:@Colectiv_JP

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