『ホワット・イフ…?』第3話はミステリー仕立て もしアベンジャーズが誕生しなかったら?

 映画『インクレディブル・ハルク』にはナターシャは登場しませんが、このアニメ版ではナターシャがずっとブルース・バナーを追っていたことを匂わせています。映画『アベンジャーズ』でなぜナターシャがブルース・バナー/ハルク担当だったのかこれでわかりました。なお、映画『ブラック・ウィドウ』で話題の“ナターシャ着地”をこのエピソードで見せてくれます。

 そしてついにナターシャは事件の核心をつきますが、ここは日本語吹替版を観ている人と字幕版を観ている人で運命が分かれます(笑)。そう字幕版は犯人の狙いは「すべて“希望”のため」ですが、日本語吹替版は「すべて“ホープ”のため」です。先のナノテクとホープという言葉で、おおよそ事件のあらましが見えてきます。そう! 犯人はホープの父で初代アントマンのピム博士でした!

 ここをちょっと解説すると映画『アントマン&ワスプ』で活躍するアントマンとワスプは
それぞれ2代目で、初代アントマンはハンク・ピム博士、初代ワスプはその妻ジャネット。2人ともS.H.I.E.L.D.で働いていました(なおこのアニメの劇中、ナターシャがアクセスするファイルにジャネットの名が出てきます)。そしてハンクが見出したスコットが2代目アントマン、ハンクの娘ホープが2代目ワスプとなります。そう、ホープとはハンクの娘のことだったのです。

 このアニメでは、ホープはニック・フューリーの部下であり殉職。それに怒ったハンクがフューリーへの復讐のためこの殺人事件を起こした、というわけでした。

 僕はナターシャが襲われる時、敵は念力の使い手? と思ったのですが、これで納得。アントマンやワスプは小さくなってもパワーは変わらないので、姿を見せず相手を攻撃できま
す。コミックでは、ホークアイの矢にアントマンがくっつき、敵の内部から攻撃するというアタック(映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』ではこの方法でアイアンマンのアーマーを内部攻撃しました)があるのですが、このエピソードではアントマンがホークアイに矢を発射させる、というすごい殺人トリックを仕掛けていたわけです。

 今回はミステリー仕立てだし、またMCU初期3作がモチーフになっているので懐かしい部分もあり楽しめました。ニック・フューリーとロキが手を組むという展開も斬新ですが、最後はさすがロキ様。このロキ様の国連でのスピーチは映画『アベンジャーズ』でドイツに現れたロキ様が放った言葉です。

 コールソン(クラーク・グレッグ)や出番は多くないですがシフ(ジェイミー・アレクサンダー)、ラムロウ(フランク・グリロ)の登場も嬉しい。コールソンのパスワードは、映画『アベンジャーズ』で語られた、コールソンがキャプテン・アメリカのファンという設定にも由来しています。

 この世界では、新しいメンバーによるアベンジャーズが生まれるわけです。フューリーが言うとおり、アベンジャーズとは特定メンバーによるチーム名ではなく、コンセプト名です。つまりアイアンマン、マイティ・ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイがいなくてもアベンジャーズは生まれる、続けられる。それはこれからMCUの映画世界でも、新たなメンバーによるアベンジャーズが登場するということを言っているのかもしれません。

■配信情報
『ホワット・イフ…?』
ディズニープラスにて、毎週水曜16:00〜独占配信中
(c)2021 Marvel

関連記事