ルッソ兄弟が製作中の『ガッチャマン』 MCUや『ワイスピ』のようなユニバース化に?

 サンディエゴ・コミコンでジョー&アンソニー・ルッソ兄弟が、日本のアニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(1972年~1974年)を実写映画化すると発表したのが2019年。そして先ごろ、その脚本に『ワイルド・スピード/ジェット・ブレイク』(2021年)のダニエル・ケイシーが就任したことがわかった(参考:‘F9’ Scribe Daniel Casey To Write AGBO’s ‘Battle Of The Planets’ Feature – Comic-Con)。米Deadlineなどによると、両者はすでにユニバース化への基礎固めを始めており、それらは複数のメディアにまたがるシリーズ展開を見据えているという。

 ルッソ兄弟といえば、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)で『キャプテン・アメリカ』シリーズの監督を務め、その後MCUフェーズ3最終章となった『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)、および『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)を手掛けた敏腕だ。複数の単独作品をひとつの世界にまとめるユニバース化において、MCUは歴史的大成功を収めたことは疑いようがない。そんな2人が今度は“タツノコ・ユニバース”を展開しようとしているというのだから、否応なしに期待が膨らむというものだ。

 またこれまでの報道から、映画『ガッチャマン』はアニメの単純な実写化ではなく、オリジナルストーリーになることがわかっている。2020年に、アンソニー・ルッソが米Colliderのインタビューで明かした。彼は同作の魅力は「成長の物語」であると語り、「遺伝子を組み替えられた子供たちが、宇宙戦争に関わっていくストーリーになる」としている。その脚本を執筆するのがケイシーというわけだ。

“複数メディアにまたがるシリーズ展開”とは

 今回明かされた“タツノコ・ユニバース”は、複数メディアにまたがるシリーズ展開を想定しているという。つまり劇場用の実写映画だけではなく、テレビシリーズや配信作品なども視野に入れているということだろう。これはまさに今、MCUがやっていることだ。今まで映画でのみ展開されてきたMCUは、フェーズ4に入ってDisney+(ディズニープラス)で『ワンダヴィジョン』、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、『ロキ』(すべて2021年)と、ドラマシリーズを次々とリリースしてきた。そしてそのどれもが、今後の映画作品に関わってくるとされている。ルッソ兄弟は、これらのMCUフェーズ4には参加していないが、これと同じことを“タツノコ・ユニバース”でやろうとしているのだ。

海外でのタツノコプロ作品の人気

 5人の少年少女によって結成された科学忍者隊が、世界征服を目論む秘密結社ギャラクターと戦う『ガッチャマン』は、『Battle of the Planets』のタイトルで1978年からアメリカでも放送された。これが爆発的人気を博し、今でも多くのファンを抱えている。ルッソ兄弟のようなクリエイターが、自らの手で現代に蘇らせようと動き出すほどに、だ。2008年には『マッハGoGoGo』(1967年~1968年)も、アメリカでのアニメと同じ『スピード・レーサー』のタイトルで実写映画化されている。ウォシャウスキー姉妹が手がけた本作は、日本でも公開された。結果としては批評的にも興行的にも振るわなかったが、オリジナルのアニメ版と同じ主題歌や効果音を使用するなど、原作愛にあふれている。それほどタツノコプロの作品は、海外でも人気となっているのだ。

 タツノコプロの作品が海外で人気を獲得した理由の1つは、キャラクターデザインにある。ほかの日本製アニメキャラクターに比べてやや彫りの深い、国籍の特定が難しい顔。これが世界各国の子供たちに親近感を与えた。またSF作品が多く、地域も特定しづらい。それまでデフォルメされたマンガ的表現が常識だったアニメに、初めてリアル路線を取り入れた『マッハGoGoGo』や『ガッチャマン』をはじめとする60年代~70年代のタツノコ作品は、世界中の子供たちを夢中にさせたのだ。

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