『おかえりモネ』マイコ、朝ドラ3作目の出演 作品に共通する懐かしさと哀愁漂う空気感
連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)第10週「気象予報は誰のため?」から、上京したヒロインの百音(清原果耶)の住居となる古い銭湯をリノベーションしたシェアハウスが何とも風情がある。そこの大家の井上菜津(マイコ)が纏う柔和な空気感にまた癒され、思わず「ただいま」と言いたくなってしまう。
気仙沼・登米パートから一気に話の展開するスピードが変わり、テレビ局の報道の現場の慌ただしさが伝わる構成になっているが、そんな中でも百音の住まいであるこのシェアハウスが、束の間彼女にとってホッと一息つける安息の地になるのは間違いなさそうだ。ここで一緒に住むことになった幼なじみの明日美(恒松祐里)の存在も相まって、この空間だけは東京にあっても何だか時間が流れるスピードがゆったりしているような気がする。「外での(仕事中の)百音」と「家にいるオフモードの百音」、「対外的な百音」と「自分に向き合う(時間の中にいる)百音」というコントラストが早くも出来つつあるように思える。
マイコの朝ドラ出演は『おひさま』、『マッサン』 スピンオフドラマ『すみれの家出〜かわいい子には旅をさせよ』に続き本作が3作目。
映画初出演にしてヒロインに大抜擢された『山のあなた〜徳市の恋〜』でも、初のドラマ出演作となった大河ドラマ『龍馬伝』(NHK総合)での岩崎弥太郎(香川照之)の妻・喜勢役でも着物姿がよく似合っていた。控えめなのに、気立ての良さが滲み、自身の内面に大きく深く温かい愛情を抱えている役柄が続いている。
どこか懐かしさや哀愁が漂うのが彼女の魅力で、ふらりと遠くからやって来ていつの間にかその地域に溶け込んでいるような役柄も多いように思う。映画『カフーを待ちわびて』の幸役でも、沖縄の古民家に突如現れる謎の美女役を好演したが、いつの間にか違和感なくすっとその土地の雰囲気や空気感に彼女の存在が馴染んでいた。