恒松祐里、『おかえりモネ』『全裸監督』で“覚醒”へ 「一瞬一瞬を大切に」

 その実力はこれまでの出演作を振り返ってみても、疑いようがないものがあったが、まさに今、“開花”の瞬間が訪れようとしている俳優がいる。恒松祐里だ。現在放送中のNHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』では主人公・百音(清原果耶)の幼なじみ・野村明日美を、全世界で話題を呼んでいるNetflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』ではヒロイン・乃木真梨子と、それぞれでまったく別の顔を見せてくれている。2作品に挑むにあたり、彼女は何を大事にしていたのか。じっくりと話を聞いた。
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恒松祐里の休日は『ゼルダ』と『あつ森』? 『おかえりモネ』『全裸監督』

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20代に入ったからこそできること

『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』 by “くちびるに歌を” 中五島中学校合唱部OB

ーー昨年(2020年)のコロナ禍に入った直後、数多くのリモートによる作品が生み出されていたましたが、その中でも個人的に最も心を動かされたのが「『手紙 ~拝啓 十五の君へ~』 by “くちびるに歌を” 中五島中学校合唱部OB」でした。恒松さんが呼びかけ人だったそうですね。

恒松祐里(以下、恒松):ありがとうございます。葵わかなちゃんと一緒にいつもカラオケでハモっていた「Best Friend」を歌って、インストアの動画のところに載せたんですけど、いろんな方々から声をいただいたんです。それを受けて、わかなちゃんと「『くちびるに歌を』のみんなで『手紙』を歌えたら最高だね」という話になって。みんなとリモートで打ち合わせをして動き始めたら、どんどん話が大きくなって、事務所や映画の関係者、多くの方々が力を貸してくださったんです。あの頃は15歳で何もできない自分たちでしたけど、あれから時間が経って、俳優をやめてYouTuberになった人、動画編集ができるようになった人、それぞれにできることがありました。撮影当時は与えてもらうことしかできなかった私たちでしたが、今は“大人”に近づいて、少しでも皆さんに何かを提供できるならばやってみようと。多くの方の助けで実現することができましたし、こんなに素晴らしい方たちが周りにいてくれることがすごくうれしく、幸せなことだなと感じました。

――エンタメ業界は“不要不急”と扱われてしまうこともありました。コロナ禍を経て役者としての心構えの変化のようなものはありましたか?

恒松:去年の自粛期間は改めてエンタメの力の大きさを感じた時間でもありました。私自身もたくさんのドラマや映画を観て、心を揺さぶられて、救われた部分が大きかったので。落ち込んだときだけでなく、心を豊かにする上でも、エンタメは大切なものだと思いますし、あるべきものなのかなと思います。役者として、作品を観てくださる方に、何かを感じてもらいたいという思いは以前より強くなったかもしれません。

ーー『くちびるに歌を』をはじめ、10代の頃は学生役を中心にたくさんの作品で輝きを放っていました。『全裸監督』もまさにそうですが、20代に入り演じる役柄の幅も広がっているかと思います。

恒松:役者は年齢とともに見せられるものがどんどん変化していく面白い仕事だと思うんです。だからこそ、そのときにしかできない役を、一瞬一瞬を大切にしていきたいです。20代に入って、10代のときと同じフレッシュさではなくなる部分もあると思いますが、20代だからこそできるようになることもたくさんあります。私自身が年齢と共に重ねた経験をお芝居にも作品ごとに生かしていきたいですね。

『おかえりモネ』百音と対象的な明日美

――放送中の朝ドラ『おかえりモネ』では、約半年間にわたる作品ということもあり、恒松さんが演じる明日美も劇中で年齢を重ねていきます。まさに現在、年齢の変化による演じ分けを行っているところでしょうか?

恒松:初登場時は18歳で、最終的に20代中盤頃まで描かれると思います。回想シーンでは中学生の頃も演じましたね。実際に自分が中学生の頃の過去の映像を観ると本当に声がキンキン、まさに黄色い声で(笑)、今はそれと同じようにはいかないですが、中学時代の回想シーンでは意識的に声も高くしました。7月中旬(第10週~)放送頃の明日美ちゃんは、親の元を離れて自由を楽しんでいるところです。

ーー高校卒業後、百音は社会人として働きはじめていることもあり、服装が落ち着いているのに対して、明日美は“ザ・大学生”という感じで(笑)。

恒松:そうなんですよ。大学生1年生だったり、社会人1年目って、なんでも頑張るじゃないですか(笑)。明日美ちゃんのちょっと背伸びをしている感じがかわいいですよね。今後、明日美ちゃんも就職するときが訪れるんですが、社会人1年目のファッションにもすごく気合が入っています(笑)。視聴者の方には、ちょっと背伸びしている明日美ちゃんを見て、「この子頑張ってるな、かわいいな(笑)」と思っていただけたらうれしいです。

――百音、明日美、亮(永瀬廉)、悠人(高田彪我)、三生(前田航基)の幼なじみたちの関係性、雰囲気もすごく素敵です。

恒松:気仙沼ロケが最初の撮影だったのですが、何年も一緒にいた幼なじみということで、はじめからみんなとコミニュケーションを取ることは意識していました。全員にその意識があったので、自然と仲も深まっていって。そのおかげで自然といい空気感ができたのかなと思います。

――『おかえりモネ』は舞台が仙台、時代が現代で2014年から物語がスタートしていることもあり、物語の根底に東日本大震災の影響が刻まれています。第8週で描かれた亮の家族をめぐる話は涙なしには観られませんでした。

恒松:台本を読んでいるときも胸が締め付けられました。明日美ちゃんは震災ではっきりとした被害を受けていなくて、家族も無事だったんです。だからりょーちんに寄り添いたくても絶対に同じ気持ちにはなれないわけで。私自身、東日本大震災時はまだ小学6年生で、何が起きてしまったのかも分からないぐらいで、当事者とは言えません。被災者の方々の気持ちに完全に共感することはできませんが、それでも少しでも寄り添えるように、本作を観た方に救いを感じていただけるように、全力で明日美を演じたいと思っています。

――明日美は東京編でも登場するんですよね。

恒松:そうなんです! 百音にちょっかいをかけていくと言いますか(笑)、一緒の下宿先で暮らすことになります。明日美ちゃんは、名前に明るいという字が入っているくらい、明るい女の子で、よく喋るし、恋の噂も大好き。考え込む百音と、あっけらかんとズバズバ語る明日美が面白い対比で描かれていると思います。今後の2人の関係にも注目していただけたらうれしいです!

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