“ほしい言葉”を間違えてしまう横浜流星 『着飾る恋』で考える“寄り添う”ということ

頑張る理由がそれぞれあって……

 「なんでそんなこと言うの?」「じゃあ、なんて言えばよかったの?」なんてやりとりは、それこそ言い争いのゴングだ。時として話し合うつもりが、言い争いになってしまうことがある。本来の目的はお互いを知ることにあるのに、相手を言い負かしてでも自分の想いを伝えようとしてしまう。

 今回の真柴と駿も完全にそのパターンで、なかでも「ほしかった言葉」をちゃんと答えた真柴に対して、「そんな無責任なことは言えない」とさらに否定を重ねてしまう場面はいただけなかった。自分の主張を伝えたいあまり相手の言葉を下げても、関係性が削られるばかり。結果、何も積み上がっていかないことを、ぜひ駿にはここで知ってほしい。

 夢をとことん追いかけることも、「ここまで」と区切りをつけることも、自分で決めたのであれば後悔も覚悟のうちなのだ。駿の通ってきた道と、真柴の通ろうとする道は、同じように感じても決して同じではない。他者から見たら「どうなのか?」と思う決断も、礼史(生瀬勝久)のように悔いはないと言い切れる人もいる。その上で、香子(夏川結衣)との人生が本当に大切だったと心から気付ける人もいるのだ。

 「コストパフォーマンス」や「効率化」が叫ばれる現代では、どうも「試行錯誤」や「回り道」「無駄」という言葉が“悪”とされがちだ。しかし、実際に自分で悔やむことは実はとても大切で、貴重な経験。苦しいけれど、その寄り道があったからこそ、駿は真柴と出会うこともできたし、その時間があったからこそもう一度人とつながることを望めるようになった。血のような涙を流す日々を経て、自分の人生を愛しく思える理由が見えてくることもあるのだ。

 それぞれの頑張る理由、自分を肯定できる理由を尊重できてこそ、共に人生を歩める。傷つく未来を避けて泣かせまいとする駿か、それとも流れる涙をそっと拭ってくれる葉山か。真柴が共に歩む相手として選ぶのはどちらか。それぞれが笑顔になる未来を期待しながら、最終回を楽しみに待ちたい。

■放送情報
火曜ドラマ『着飾る恋には理由があって』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:川口春奈、横浜流星、 飯尾和樹、山下美月(乃木坂46)、 高橋文哉、赤ペン瀧川、丸山隆平、中村アン、向井理、夏川結衣
脚本:金子ありさ
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子
編成:松本友香、川島優子
主題歌:星野源
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikazarukoi_tbs/
公式Twitter:@kikazarukoi_tbs
公式Instagram:kikazarukoi_tbs

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