『リコカツ』離婚して初めて気付くお互いの魅力 永山瑛太×北川景子のすれ違いの行方は?

 元彼の貴也(高橋光臣)との食事でも、紘一との“不一致”エピソードが次から次に止まらない咲は「紘一さんといると毎日何が起こるかわからなくてハプニングばっかりでいつも喧嘩になっちゃう」とこぼすも、心底嫌がっているようには思えない。何ならノロケにさえ聞こえる。貴也からも“それだけ喧嘩するってことは真剣に向き合っていた証拠”だと指摘され、“本当に好きだったんだね”と言われるも本人はピンと来ていない様子。

 あるいは、実際には自分の気持ちに気付いていながらも、紘一も咲も「離婚」の事実だけに囚われて、“私たちは合わなかった”と早々に結論づけようと焦っているようにさえ思える。そう結論付けないことには具合が悪いのだ。

 紘一は「いつも自分は突っ走りすぎて君を傷つけてしまう」と言うが、それだって毎回咲の幸せを想ってのことだったのに、結果ばかりに気を取られすぎている。「君は穏やかにいられる人と一緒にいるのが一番だ。ひだまりのように温かく穏やかで微笑んでいられるような、君にはそういう居場所を見つけてほしい」と伝えるが、これまでも十分に咲は紘一の前で感情を吐露していたし、それを紘一も受け止めてきたではないか。それに紘一自身が自分ではっきり言っていた「一緒にいると喧嘩になってしまう。一緒にいると楽しい」と。“喧嘩”の事実にばかりフォーカスせずに、その後に思わず自身の口からこぼれた感想こそ本音ではないのか。紘一の母親・薫(宮崎美子)が「1人でいる孤独より2人でいる孤独の方がずっと寂しい」と話していたが、彼ら2人の間に寂しさが立ち入る隙などなかった。離れている今の方が、仮初の穏やかさはあったとしてもどう見たって2人は寂しそうだ。「ハプニング」は異なる人間2人が“互いに関心のある状態”でいるから、あるいは“共通の目的を持っている”からこそ成立するのであって、てんでバラバラの人間同士の間にはそもそも“トラブル”さえ生じない。

 次週、紘一の父親はおそらく妻が働く箱根の旅館に向かうようだし、咲の父親も妻を騙した男をなんとか探し出そうとしているようだ。“全員離婚家族”たちが、それぞれの大切なものを“取り戻し”に向かうようだ。“取り戻す”と聞くと、もう戻らぬ過去の“あの頃”に想いを馳せがちだが、きっとその答えはこれから起こす行動の先にしかない。だからきっと“遅すぎる”なんてことはないはずだと信じて見守りたい。

■佳香(かこ)
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『リコカツ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:北川景子、永山瑛太、高橋光臣、白洲迅、大野いと、田辺桃子、中田クルミ、平岩紙、宮崎美子、酒向芳、三石琴乃、佐野史郎
脚本:泉澤陽子
演出:坪井敏雄ほか
プロデュース:植田博樹、吉藤芽衣
主題歌:米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作著作:TBS
(c)TBS

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