今村夏子デビュー作『こちらあみ子』実写映画化 井浦新と尾野真千子が主人公の両親役に

 第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞をW受賞した今村夏子のデビュー作『こちらあみ子』が実写映画化されることが決定した。

 本作は、『むらさきのスカートの女』で第161回芥川賞を受賞した今村のデビュー作を実写映画化するもの。

 あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しい父、一緒に登下校をしてくれる兄、 書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいる母、 憧れの同級生のり君。たくさんの人に見守られながら生きるあみ子だが、純粋で素直なあみ子の行動は周囲の人たちを困らせることに。奇妙で滑稽、でもどこか愛おしい人間たちのありさまを生き生きと描く。

 主人公あみ子の両親、いつも家族を見守る「父」役に井浦新、書道教室の先生で、お腹には赤ちゃんがいる「母」役を尾野真千子が演じることが決定した。

 あみ子役をはじめ、あみ子の好きなのり君、同級生の坊主頭、あみ子のお兄ちゃんの孝太など、子供たちの主要キャストは、純粋さや素直さをなるべく自然体で表現するべく、演技経験の有無を問わずオーディションにて選考。第2回目のオーディションは5月下旬にロケ地広島にて開催される予定だ。

 監督・脚本を務めるのは、主に大森立嗣監督をはじめ、日本映画界を牽引する監督たちの現場で助監督を務めた森井勇佑。自身が映画化を熱望していたこの作品で監督デビューを果たす。

 情報発表にあたり、森井監督とスタッフに縁のある大森監督、野尻克己監督、今泉力哉監督の応援コメントが到着した。

コメント

森井勇佑

僕がHi8のビデオカメラで遊び始めたのは、中学1年生の頃でした。
友達3人くらいと『男プロダクション』と名乗り、高校を卒業するまで30本ほど遊びで映画を撮りまくりました。
たいていの友達はカメラの前に立つだけで恥ずかしくて笑ってしまいます。でもそんな中でなぜか、ほとんど笑わずカメラ前で堂々と立っていられるヤツがいました。
そいつはぶっきらぼうで、ときどき奇行もするので、学校では浮いた存在でした。でも映画に出るのはすごく好きだったようで、「次は何をとるんや」「映画はとらんのか」としょっちゅう催促されました。今思えば、そういうヤツだったからこそ、存在が面白く、僕らも映画を撮りつづけたのだと思います。
『こちらあみ子』をはじめて読んだ時、僕はあみ子のことを友達のように感じました。
あみ子は面白いヤツです。その面白さをみんなに伝えたい。それは僕が中学生のときに思ったことと、きっと地続きなんだと思います。
それ以来、この小説を映画にしたいと強く思い続けてきました。あみ子という存在は、映画で撮るべきだと思ったのです。
『こちらあみ子』が初監督作品になることは、自分にとっては必然的なことだと感じています。
覚悟を持って挑みます。と同時に、最高に嬉しいです。ワクワクして仕方がありません。

大森立嗣

森井は僕の映画の助監督をやっていて、映画を支えてくれていました。
映画が本当に好きで、彼は映画に救われているように僕には見えました。
映画監督になったら、今度は映画を、救ってください。
自分のことはさておいて、映画に携わる人や、観客に向けて、愛を注いでください。
だけど、その前に皆様からの応援が必要なようです。
次は彼が映画を通して皆様に愛を降り注ぎます。

野尻克己

森井勇佑は映画を愛するとても純粋な私の後輩だ。
純粋な後輩が天才作家、今村夏子のデビュー作で監督デビューする。
純粋と天才の掛け算。
デビュー作とデビュー作の掛け算。
誰からも歓迎される映画がこの世に出るに違いない。
余談だが、私の人生を賭けたデビュー作の助監督を森井に三度頼んだが三度断られた。
この間、断った理由を聞くとヘラヘラ笑って「覚えていません」と言われた。
そういう憎めない人間だ。そういう憎めない人間の人生を賭けた監督デビュー作。
誰からも愛される映画がこの世に出るに違いない。

今泉力哉

小説『こちらあみ子』が映画になると聞いた。見たいです。監督は同じ原作者である今村夏子さんの映画『星の子』で助監督を務めていた森井勇佑さん。撮影を、私が何度もご一緒した岩永洋さんが担当すると聞いた。おふたりは日本映画学校時代からの知り合いらしい。広島での主演オーディションの情報を聞き、わくわくした。すでに本気でいい映画にしようという気持ちが見える。クラウドファンディングの成功を影ながら祈っております。多くの人が支援してくださいますように。

■公開情報
『こちらあみ子』
出演:井浦新、尾野真千子
監督:森井勇佑
原作:今村夏子
公式サイト:https://kochira-amiko.com
公式Twitter:https://twitter.com/amiko_2021

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