菅田将暉×仲野太賀×神木隆之介が並ぶ凄み 『コントが始まる』の擬似家族的なつながり

 瞬太(神木隆之介)は、母親のことが嫌いだった。何をしても口うるさく否定されてしまうから。だから反発するように、母親が嫌いだったゲームやお笑いを求め、髪を染めもした。高校を卒業すると絶縁状態に陥って、そこからもう7、8年は会っていない。『コントが始まる』(日本テレビ系)第4話の開幕コントは、珍しく瞬太がネタを書いたという「捨て猫」。母親に捨てられたような気持ちを抱いてきた瞬太と、捨てられ傷ついたものを放っておけないつむぎ(古川琴音)の人生が、一本のコントを軸に交わっていく。

 第3話では「兄弟間・姉妹間」の絆が描かれていたが、第4話でも「親子」を軸に、引き続き「家族」に焦点が当てられる。ここでの「家族」というのは、瞬太と母親の関係だけに当てはまらない。例えば、マクベスの結成を後押しした真壁先生(鈴木浩介)は、さながら彼らの父親のように描かれてはいないだろうか。真壁先生(Makabe’s student)から取られた名前「マクベス」によりコンビが本格始動した日と、先生に子が生まれる(子に名前を与える)日が重なり合っているのが、より擬似親子的な意味を強めているのだ。

 瞬太と母親との三者面談では瞬太の進路について母親が猛反対するなかで、「今しかできないことをやらせてあげたほうが……」と、ある種の父親的楽観主義で選択を尊重していた真壁先生。そんな先生が10年後、マクベスを続けるべきか春斗(菅田将暉)と潤平(仲野太賀)に問われたとき「解散したほうがいいと思うぞ」ときっぱり答える変化が、ふたりの予想を覆すところであり、第4話の肝でもあっただろう。ふたりが求めていたのは「遮二無二やれよ」という言葉だったけれど、先生はそう言ってくれない。

 なぜ母親は瞬太を否定し続け、真壁先生はここに来て現実を突きつけてくるのか。それは、「彼らのことを真剣に想っているから」に他ならないのかもしれない。親は子の最善の幸せを願うがゆえに、口出しすることをやめられない。口出しすると言えば、瞬太の母親が危篤状態にあるなか、病院へ行くことを強要する春斗と潤平の姿勢もそのようだった。ふたりは瞬太の苦悩を知っている。それでも、エゴであるとしても「瞬太のために」母親に会わそうとする。それは、瞬太の母と食事をしたあの日、彼女の子育てにおける後悔が滲み出る姿を知ったからでもあるだろう。真壁先生とマクベスの関係が「擬似親子的」であるとすれば、マクベス3人の関係もまた、お互いに干渉せずにはいられない「擬似兄弟的」なところがある。

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