佐藤健と新田真剣佑のバトルシーンに密着 『るろうに剣心 最終章 The Final』撮影レポート

 いよいよ4月23日に公開を迎える『るろうに剣心 最終章 The Final』。映画のクライマックスとなる緋村剣心(佐藤健)と雪代縁(新田真剣佑)のバトルシーンの撮影が、2019年3月29日に東宝スタジオで行われた。

 2012年8月25日公開の『るろうに剣心』、2014年8月1日公開の『るろうに剣心 京都大火編』、同年9月13日公開の『るろうに剣心 伝説の最期編』と、これまでシリーズ3作が劇場公開され、その累計観客動員数は980万人を突破している映画『るろうに剣心』シリーズ。4月23日公開の『るろうに剣心 最終章 The Final』、そして6月4日公開の『るろうに剣心 最終章 The Beginning』でついに完結を迎える。

 当初は2020年7月に『The Final』が、8月に『The Beginning』がそれぞれ公開される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となり、このたび約10カ月越しに公開を迎えることになる。

 『The Final』で描かれるのは、仲間たちと平穏な日々を送っていた緋村剣心と、剣心に復讐するため彼の前に現れた、上海マフィアの頭目で剣心の“十字傷の謎”を知るシリーズ最恐の敵・縁の戦い。2019年3月29日に撮影が行われたのは、そのクライマックスとなる、佐藤健演じる主人公・緋村剣心と新田真剣佑演じる雪代縁による、『The Final』ラストのバトルシーンだ。

『るろうに剣心 最終章 The Final』撮影現場での大友啓史監督、新田真剣佑

 日数にして約5.5日、カット数にして125カットと、日本映画としては異例の撮影となったクライマックスシーン。役者にも大きな負担がかかるアクションシーンであり、物語のラストを飾るラストシーンということもあり、撮影現場には並々ならぬ緊張感が漂う。撮影に入る数十分前まで入念に準備を行っていた新田と、落ち着いた表情で待機する佐藤。スタジオ内には大掛かりなセットが組まれ、監督の大友啓史、アクション監督の谷垣健治らスタッフ陣も本番前まで入念な確認を行っていく。

 佐藤と新田にワイヤーが固定され、「せーの」の掛け声とともにカメラが回り始めてからカットの声が上がるまで、ほんの数秒。剣を手にした新田が全力疾走で佐藤を追いかける。佐藤と新田ともに壁を走りながら、組まれたセットも次々に破壊されていく。

『るろうに剣心 最終章 The Final』緋村剣心(佐藤健)と雪代縁(新田真剣佑)

 シリーズの代名詞ともなっている本作のアクションについて、大友監督はアクション監督の谷垣を中心とするアクションチームと一緒に、“アナログ的なことにこだわった肉体的なアクション”を目指したという。「谷垣さんはアクションの最前線である香港でノウハウを積み重ねてきているので、そのアイディアや技術を日本の土壌でどう実現するかが課題でした。スケジュールや規模感を含めて、向こうだからできることもあると思うけど、それを日本にどう持ち込むか。それはアクションの問題だけではなくて、それを受け止められる美術チームや撮影チームが必要だし、衣装もアクション用を含め何着もいるし、装飾や操演的にもいろんな仕掛けが必要になってくる。『るろ剣』の場合は、これまでチームで積み重ねてきた中で、許容できる範囲がいろんな意味で広がってきていた。だから、アクションの迫力は間違いなく増していると思う」と自信を覗かせる。「アクションシーンが終わった後のセットは草一本生えていないみたいな(笑)。それぐらい全部壊す勢いで」という言葉通り、ワンカットワンカット、スタッフ・キャスト全力で撮影に挑む様子を目の当たりにした。

『るろうに剣心 最終章 The Final』撮影現場での谷垣健治、新田真剣佑、佐藤健

 とはいえ、今回の剣心と縁の戦いは、ただ単純な戦いではない。有村架純が演じる雪代巴を巡って、2人の間には因縁がある。かつて愛した妻である巴を自らの手で殺めてしまった剣心。そして最愛の姉である巴を義理の兄によって奪われた縁。その2人の戦いを表現するために、大友監督は谷垣に「感情が見えるアクションにしたい」とリクエストしたという。その背景について大友監督は、「縁はラスボスではあるけれど、剣心にとっては本来一番戦いたくない相手だった。剣心にとってはある種の贖罪意識があって、縁を目の前にしたら何も言えることはない。そういう人と戦わなければいけないので、『さあ、戦いだ!』ということとはまた違う。縁も縁で、戦う過程で憎しみだけではない別の感情が生まれていて。お互いに複雑な感情を抱いているので、一振り一振りの剣の動きに、そういう感情の揺れが見えるようにしたい」と語る。「アクションの在りようについては、いつもの『るろ剣』のように狭い空間でダイナミックなものだけど、濃密な感情がほとばしるようなものになればいいなと。戦ってみないと分かり合えない、剣と剣じゃないと分かり合えないことがある」と、剣心と縁のアクションシーンの裏側にあるものを明かした。

『るろうに剣心 最終章 The Final』緋村剣心(佐藤健)

 そんな剣心役の佐藤と大友監督の付き合いは10年以上になる。そんな佐藤について大友監督は、「立ち回りやその在りようも含めて、全て受け止める覚悟でここに来ているんだなということが分かる。今回、5年ぶりの撮影だったので、個人的には心配していた部分もあったけど、ちゃんと剣心に戻っていました。本人は『体に入れた役は意外と忘れないものですね』って言っていましたね。佐藤健が本当に剣心であり続けてくれるので、何かあったらとにかく剣心を撮ればいい。佐藤健が演じる剣心を中心に宇宙が回ってる感じ」と語り、座長の佐藤に絶大な信頼を寄せる。

『るろうに剣心 最終章 The Final』雪代縁(新田真剣佑)と緋村剣心(佐藤健)

 一方、シリーズ最恐の敵となる縁役に抜擢された新田について尋ねると、「佐藤健はある意味、この何年間で若手俳優としては特別な存在になっている。そこにぶつける年下の俳優は誰がいいかと考えたときに、僕の中ではストレートに彼だった」とキャスティングの背景を語る。さらに、「新田真剣佑のアクションは振りが大きくて正確。若い頃から空手もやっていたりと素養があるけど、素養があるからといってアクションがうまいかというとそうとは限らない。でも彼の場合は、ちゃんとキャラクターから入っている。本当に縁に見えるかということから始まっていて、縁らしい立ち回りを考え、自らアイデアを出しながら、アクションチームと一緒に謙虚にやっている。彼からは“澄み切った剣”を感じますね」と、大役に抜擢された新田の姿勢にも絶賛のコメントを寄せた。

■公開情報
『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』
『るろうに剣心 最終章 The Final』4月23日(金)全国ロードショー
出演:佐藤健、武井咲、新田真剣佑、青木崇高、蒼井優、伊勢谷友介、土屋太鳳、江口洋介
主題歌:ONE OK ROCK「Renegades」
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』6月4日(金)全国ロードショー
出演:佐藤健、有村架純、高橋一生、村上虹郎、安藤政信、北村一輝、江口洋介
監督・脚本:大友啓史
原作:和月伸宏『るろうに剣心−明治剣客浪漫譚-』(集英社ジャンプ コミックス刊)
制作プロダクション・配給:ワーナー・ブラザース映画
製作:映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
(c)和月伸宏/集英社 (c)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会
公式サイト:http://rurouni-kenshin.jp
公式Twitter:https://twitter.com/ruroken_movie
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