倉悠貴が『おちょやん』で与えたインパクト 無言でも映える独特の雰囲気

 杉咲花主演のNHK連続テレビ小説『おちょやん』で、主人公・竹井千代の弟・ヨシヲ役として、大きな話題を呼んだ倉悠貴。俳優デビューしてまだ2年だけに、彼がどういった役者なのか知らない方も多いはず。そこで、これまでのフィルモグラフィーを振り返り、今後どんな俳優になっていくのか予想してみたい。

 倉の俳優デビューは、2019年の錦戸亮主演の連続ドラマ『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)。主人公・真野礼二(錦戸亮)が家族の死の真相を探る物語で、倉は礼二の兄・源義一役を演じ、両親と妹を刺殺した後に自殺したとされる、物語の重要人物を演じている。無造作ヘアに悲しい目が印象的で、壮絶なイジメに遭い、追い込まれていく人の心の闇を抱える難役を、デビュー作でしっかりと見せた。

 間も無く出演した『his~恋するつもりなんてなかった~』(メ~テレ)は、江ノ島で出会った男子高校生2人に芽生えた友情が、やがて恋に発展していく恋愛物語。倉は同性に恋をするサーフィン好きの訳あり高校生役を演じている。高校生らしい初々しさと、もどかしいやりとりなど、演技がまだ洗練されていない分、自分のアイデンティティーに悩む思春期の心が伝わる、甘く切ない演技を見せている。

 その後も、カメラマンの蜷川実花が監督を務める2020年のNetflixオリジナルシリーズ『FOLLOWERS』に出演し、直接の共演シーンはなかったものの、ヒロインを演じた池田エライザの目に留まり、池田が原案・初監督を務めた映画『夏、至るころ』の主演に抜擢。『夏、至るころ』は、幼い頃からの親友で、同じ高校に通う倉演じる翔と泰我(石内呂依)が、夏祭りを前に初めて自分の人生と向き合う青春物語。無自覚だった高校生たちが現実に気づく、心の迷いや虚無感など、池田自身の演出でもあったそうだが、セリフを言いたくなるまで言わせず、噛み砕いてから発するという、感情を伝えるまでに時間がかかる演技が、自身のキャラクターと相重なり、不器用な青春時代の高校生をリアルに表現している。

『夏、至るころ』(c)2020「夏、至るころ」製作委員会

 これらの作品を観る限り、倉は、どこか儚さと色気を持つ俳優で、山田孝之や柳楽優弥の若い頃であったり、近年では山崎賢人や吉村界人が持つような、独特のダークさを漂わせる目が印象的。無言でも間が持つアンニュイな雰囲気がある役者と言える。