杉咲花からも滲み出る“役を愛した時間”　『おちょやん』が描く演じることの本質

　かくして舞台を成功させた千代たちは、千之助からも不器用な褒め言葉を受け取ることができた。鶴亀家庭劇は個性的な役者ばかりだが、みな芝居に対する愛は強い。どんなにぶつかっても、終わりよければ全て良し。集まった大きなパワーが、万太郎（板尾創路）率いる「須賀廼家万太郎一座」が人気を不動のものとしている道頓堀の演劇界を動かすのだろう。

　そして、その万太郎から一目置かれている千代の成長ぶりには目を見張るものがある。最初はお世辞にも上手いとは言えない棒読みの演技だったのに、今はすでに鶴亀家庭劇になくてはならない役者になりつつある千代。舞台上で千代のアドリブに臨機応変に対応した一平も、彼女のことを随分と信頼しているようだ。“大阪のお母さん”として親しまれることになる女優・竹井千代の道が拓けてきた。

■苫とり子
フリーライター／1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演：杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥、中村鴈治郎、名倉潤、板尾創路、 星田英利、いしのようこ、宮田圭子、西川忠志、東野絢香、若葉竜也、西村和彦、映美くらら、渋谷天外、若村麻由美ほか
語り：桂吉弥
脚本：八津弘幸
制作統括：櫻井壮一、熊野律時
音楽：サキタハヂメ
演出：椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供＝NHK
公式サイト：https://www.nhk.or.jp/ochoyan/