『ひぐらしのなく頃に 業』はリメイクにも見えた“完全新作” プロデューサーが語る制作背景

真タイトル『業』、「完全新作」発表の仕掛け

 しかし、一応ハッピーエンドになったはずの『ひぐらし』の新シリーズが放送されることになるとは。実は予告段階では「単に絵が綺麗になっただけ」「絵が綺麗になって、あの独特の怖さが薄まるのでは」「今の時代に、あのグロ展開は無理なのか」などともファンの間で不安視されていた。しかし、実際に放送が開始されてみると、絵は確かに綺麗になっているが、細部がちょっとずつ異なっている。しかも、薄まるかもしれないと思ったグロ系シーンは、あろうことか旧作よりもパワーアップしていた(これが現在の地上波アニメで成立しているのは、奇跡のようだ)。

 さらに、視聴者が「あれ? これ、もしかしてリメイクじゃないのか?」とうすうす感じ始めていたところ、第2話になって、真タイトル『業』が初めて明かされるという驚きの仕掛けが待っていた。そこには大きな狙いがあったようだ。

「作品の継続性を考えた時に、今回の『ひぐらし』がどの位置にあるのかも含めて謎として始められないかと考えました。絵柄も今回変わることでリメイクとも取れるけど、ひょっとしたら何かに気づくかもという仕掛けです。2話で出したのは新作であることを効果的に演出しようとした結果です」

 また、これまでのシリーズでは、昭和58年6月前後の雛見沢の世界が何度も繰り返されるという展開の要因の一つ、“羽入”(正体は、村で崇拝されている“オヤシロさま”で、梨花の相談役として100年間、惨劇を止めるために共に挑戦を繰り返してきた)というキャラは、後半にならないと明かされなかった。しかし、新作では第2話からいきなり登場したことに、衝撃を受けた視聴者も多かったが。

「羽入の登場のタイミングに関しては色んな考えが出ました。とはいえ、意見が割れたのではなく、“どこで出すのが効果的か”という観点で考えました。その上で、過去作品との差別化も含めて、第2話で出すことは、私は新鮮な衝撃になると思いましたね。竜騎士さんの構成に感謝です」

 さらに、2話で真タイトル『業』が明かされた段階でも、やはり「これってリメイク? 新作?」とわからなかった視聴者は少なくなかったが、そこに明言されたのが、第4話での「完全新作」という言葉。スッキリ感、ワクワク感とともに、恐怖が膨れ上がる仕掛けだったが、このサプライズの狙いとは? また、反響はどうだったのだろうか。

「2話で『業』と出した段階で確証として新作と捉えた方も、その段階では疑心暗鬼だった方も、いずれも喜びをもって受け取ってくれたと思いました。今、なぜ新作なのかという疑問よりも、今の時代に新作が見られるという純粋な喜びの声を多数いただいた事を嬉しく思いますし、リメイクっぽくアプローチしようと言い出した身としては、してやったりという気持ちもございます(笑)」

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