『劇場版 殺意の道程』は“映画的”な1本! バカリズムが描く復讐の中の日常

 当サイトのインタビュー(参考:バカリズム、『劇場版 殺意の道程』に込めた笑いの“フリ” 井浦新のシリアスさを巧みに起用)でバカリズム自身が語っているように、「無駄なところを、やたらとダラダラやる(笑)」ことに徹底しており、その模様が徐々に愛おしいものとして感じられてきます。虫も殺せなさそうな2人が、ピュアに殺人を計画しているのも面白く、凶器の選定や殺人の方法、アリバイ工作など、大事な部分はほとんどミステリー好きのこのはが、アイデア出しを行っているのも本作の雰囲気の良さにつながっているでしょう。

 また、本作はそういったオフビートなコメディに通底せず、スッキリとしたハートウォーミングな結末へと導かれます。途中には、物語がひっくり変えるどんでん返しがあり、本来TVドラマとして制作されたはずなのに、非常に映画的な魅力に溢れた作品として成立していることも興味深いです。

 緊急事態宣言が延長されたなか、映画館に向かうことへのハードルが高くなった昨今ですが、配信ではなく映画館の暗いスクリーンで観てほしい1本です。

■公開情報
『劇場版 殺意の道程』
劇場公開&配信中
脚本:バカリズム
監督:住田崇
音楽:大間々昂
出演:バカリズム、井浦新、堀田真由、日野陽仁、飛鳥凛、河相我聞、佐久間由衣、鶴見辰吾
プロデューサー:高江洲義貴、大内登
配給:WOWOW
製作:「劇場版 殺意の道程」製作委員会
(c)2021「劇場版 殺意の道程」製作委員会
公式サイト:satsui-movie.jp

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