『おちょやん』「わしを笑かしてみい」の真意が 星田英利演じる千之助の秘めた思い

 今なら、天海の葬儀に姿を見せた万太郎が千之助に話した「おまはんも、運のない男やなぁ。いつでもうっとこに戻ってきてもよろしおまっせ」というセリフが、はっきりと意味を持った言葉に聞こえてくる。そして、恩人が残していった一人息子との舞台。その一平からの「笑いとれたら何でもよろしいんですか」という反抗。

 天海と初めて出会った店で千之助は20年を振り返り、「確かに、今のわしがあんのはあんたのおかげや。けど、息子の面倒まで見きれるかいな。あんたとはな……もうちょっと一緒に芝居したかったわ」とお猪口を落とし、泣き崩れる。回想として木霊する「わしを笑かしてみい」。千之助が千代(杉咲花)に言い放った「わしを笑かしたら、その劇団に入ったるわ」という約束は、今も心にいる天海を思っての言葉。その劇団には、万太郎一座を超えるという、かつての天海と同じ志を持った座長の一平がいる。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
NHK連続テレビ小説『おちょやん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45
※土曜は1週間を振り返り
出演:杉咲花、成田凌、篠原涼子、トータス松本、井川遥ほか
語り:桂吉弥
脚本:八津弘幸
制作統括:櫻井壮一、熊野律時
音楽:サキタハヂメ
演出:椰川善郎、盆子原誠ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/ochoyan/

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