井川遥、『おちょやん』高城百合子がハマり役 スター性と人間味を両立するその魅力

 杉咲花主演のNHK連続テレビ小説『おちょやん』で、ヒロイン・竹井千代の憧れのスター女優・高城百合子を演じている井川遥。朝ドラ3作目の出演となる本作では、高貴な美しくさとは裏腹にどこか天然ボケなところもある、まさに浮世離れしたスター女優を自然体で演じている。そんな井川のキャリアを振り返り、今後への期待について考えてみたい。

 井川といえば長年“癒し系”タレントブームの象徴とも言える女優だが、「角ハイボール」CMでの店主役からは、色気のある素敵な女性というイメージが定着し、昔と変わらぬスタイルと美貌で女性誌の表紙を飾るなど男女双方に愛され続けている。

 そうした“癒し系”からの変化のターニングポイントにもなったのは、2010年代に入ってからだろうか。2011年の『フリーター、家を買う。』(フジテレビ系)では、主人公・武誠治(二宮和也)の頼りになる姉役で、自然体のサバサバした演技が見事にハマったかと思えば、2013年の意外にも初主演となったドラマ『ガラスの家』(NHK)では、義母と息子の禁断の愛を描いた難しい役を熱演。斎藤工を相手に、タブーだと分かっても本能の赴くままに大胆な行動に走らせてしまうヒロインとして、抑えた艶っぽさを際立たせていく。同作での井川の演技が、井川の現在のイメージが定着するきっかけだったようにも思う。2015年の『流星ワゴン』(TBS系)では、平穏の家庭に不満を持ち、浮気に走る妻を演じ、昨年は『半沢直樹』(TBS系)で、居酒屋の女将役が注目を集めるなど、近年もそうしたキャリアを積んだ現在だからこそできる、ミステリアスな演技で話題を呼んでいる。

 そんな井川が『おちょやん』で演じる高城百合子は、千代(杉咲花)が道頓堀の芝居小屋で目撃して以来、憧れ続けるスター女優という役柄。その美貌と情熱的な演技で観客を魅了し、芸術のために自由な人生を突き進む姿に、千代は大きな影響を受ける。

 大正から昭和にかけての映画スターらしい優雅さを醸し出しながらも、千代の記憶を昔飼っていて九官鳥のレイチェルと(わざと?)勘違いする天然な一面もある、いかにも浮世離れしたスター女優の存在感が、物語に新鮮さを与えている。

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