木村拓哉主演『教場II』前編は衝撃のラスト 工藤阿須加演じる宮坂の重要性が浮き彫りに

 木村拓哉が警察学校の冷酷な教官・風間公親を演じ、昨年の正月に大きな話題を集めたフジテレビのスペシャルドラマ『教場』の続編となる『教場II』。警察官を目指す生徒たちを“ふるいにかける”場所である警察学校で起こる新たな生徒たちによる新たな事件と、前作では描かれなかった風間の過去に触れていくという今回。1月3日に放送された「前編」では、“第200期”の生徒たちを中心に、前作と同じような流れで物語が展開していったが、同時に大きな違いがいくつも見受けられた。

 神奈川県警察学校初任科第200期の生徒たちは、仮入校期間を終えて警察官としての日々のスタートを迎えた。指導員として第200期の生徒を見ていた第198期の宮坂(工藤阿須加)は、漆原(矢本悠馬)に過去の自分の姿を重ねる。風間教場の生徒で、聴覚に自信があり白バイ警官を志す鳥羽(濱田岳)は、寮の部屋に頻繁に蟻が現れることを風間に報告する。一方、体力がなく訓練についていけない忍野(福原遥)は、それが原因で他の教場の生徒から嫌がらせを受けるが、勝気な性格の堂本(高月彩良)に助けられ一緒にトレーニングに励むことに。そんな中、休学していた第199期の石上(上白石萌歌)が復学。生徒たちの間では、第199期で大きな事故があったという噂が流れるようになるのだ。

 様々な年齢が集まる警察学校で歳の離れた同期との接し方にぎこちなさを覚える鳥羽の姿は、前作の日下部(三浦翔平)とも通じるものがある。とはいえ、最初に風間から目を付けられる生徒が、どこか内向的な生徒との関係を通して事件に巻き込まれるというさまは、同じく前作の宮坂と平田(林遣都)のくだりともよく似ている。それは忍野の一連のシーンで描かれる、女性生徒同士の複雑な関係と、退校する堂本から「警察官になる」という志を半ば託されるようにして教場に留まる忍野の姿など、「前編」で描かれる3つの事件のうち2つは前作を明確に踏襲しているといえよう。

 しかしながら、風間の生徒に対する向き合い方は以前とはすっかり変わっているようにも思える。寮の部屋に蟻が現れたことを報告する鳥羽に対し、蟻について調べることを提案してみたり、校内の備品が相次いでなくなる事件が起きたときに真っ先に忍野に「自分で解いてみろ」と言うなど、前作ではいくつものピースを自らつなげるだけだった風間が、生徒に“考える機会”を与えようとしていることが見て取れる。その一方で、終盤の漆原の不審な行動を読み解く際には風間の視点のみで推理が進められるという、まるで異質な描写が登場したことは見逃せない。

関連記事