染谷将太は『危険なビーナス』にいつ登場する? “いない”のに“いる”特異な存在感
もちろん、『危険なビーナス』における明人の存在感の大きさは、染谷のこれまでの功績によるものだけではない。まわりを固める俳優陣の力があってこそのもの。異父兄である伯朗は本作においてもっとも地味な人物だが、演じる妻夫木は、フラッシュバックする伯朗の過去の記憶の映像とともに、苦々しい表情と絞り出すように発するセリフによって、人物の背景までをも浮かび上がらせているように思える。そして、明人の妻・楓を演じる吉高の謎めいた挙動によって、明人もまた、よりミステリアスな存在として視聴者の興味をそそっていることだろう。
それに、矢神家の一族の濃いキャラクターたちを演じるディーン・フジオカ、麻生祐未、戸田恵子らの存在も大きい。彼らがキャラクターと同様に“濃厚な演技”を展開し、「明人」という名を口にするだけで、それはやはり特別な存在となり、視聴者の脳内に植えつけられることになる。これはもはや、洗脳的である! 彼らに支えられることで、未登場ながらも明人は“生きている”のだ。
これまでは人々の言葉によって語られてきただけの明人だが、第6話の予告では、ついに登場している様子が確認されている。果たして、彼が口を開く瞬間が訪れるのだろうか。そうして姿を見せる俳優・染谷将太は、本作で何を残すのだろうか。
■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter
■放送情報
日曜劇場『危険なビーナス』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:妻夫木聡、吉高由里子、ディーン・フジオカ、染谷将太、中村アン、堀田真由、結木滉星、福田麻貴(3時のヒロイン)、R-指定(Creepy Nuts)、麻生祐未、坂井真紀、安蘭けい、田口浩正、池内万作、栗原英雄、斉藤由貴、戸田恵子、小日向文世
原作:東野圭吾『危険なビーナス』(講談社文庫)
脚本:黒岩勉
プロデューサー:橋本芙美(共同テレビ)、高丸雅隆(共同テレビ)、久松大地(共同テレビ)
演出:佐藤祐市、河野圭太
製作:共同テレビ、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/kikenna_venus/
(c)TBS