70年~80年代名作のリメイクや続編が増えた理由とは? 『コブラ会』『透明人間』などから探る

 一方、オリジナルの名作映画を続編映画として手がけるケースを見ると、まず、映画『ダーティ・ダンシング』の続編企画が今年8月に発表された。オリジナル映画は、60年代を舞台に、一家で避暑地を訪れた17歳の少女が経験するダンス・インストラクターとの青春ラブストーリー。そんな『ダーティ・ダンシング』を続編映画として描く魅力は、オリジナル映画で主演を務めたジェニファー・グレイが、そのまま続編でも主演兼製作総指揮を務めることだ。つまり、80年代当時オリジナル映画を鑑賞した観客が、その後、ジェニファーと同じように歳を重ね、過去に回帰しながら鑑賞できるのだ。

 そして、これらのオリジナルの名作のリメイク・リブートを追っていくと浮かび上がる最も重要な点は、デヴィッド・フィンチャー、J・J・エイブラムスなど、映画界で実績のある人物を雇って、続編、前日譚、あるいはリメイクとして新鮮な息吹を吹き込むことだ。直近で言えば、映画『ソウ』シリーズや『透明人間』を手がけたリー・ワネルもそうだ。現在リー・ワネルは、1981年にジョン・カーペンター監督、カート・ラッセルがタッグを組んだ近未来のSF映画『ニューヨーク 1997』のリメイク作品を数年前から企画し、今年3月にメガホンを取る予定だった。だが新型コロナウイルスで、現在はリメイク作品が棚上げ状態にあることを明かしている。

『透明人間』(c)2020 Universal Pictures

 逆に、名作から新作を生み出すうえで、映画界で実績のある人たちに頼らずに、新たな才能に頼るケースもある。その一つとして挙げられるのが、1978年の名作『グリース』の前日譚を描いた新作映画だ。今年の7月にその前日譚を、映画『ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた』のブレット・ヘイリー監督が、パラマウント・ピクチャーズのもと手がけることが決定している。ただハリウッドが、このような形態を新たに打ち出しても、当然、問題点も沢山ある。その一つに、名作の続編や前日譚、あるいはリメイクを描くうえで、当然、オリジナル作品のファンは世界中にいるため、オリジナル作品に関わる新たな作品を企画しただけでも、否定的な人も結構いるのだ。

 それをクリアするために、オリジナル映画ではなく、原作に忠実に捉えることのできる監督や脚本家を雇う必要があり、さらに実績のある俳優のキャスティングも必要となってくる。例えば、1983年製作の映画『スカーフェイス』のリメイク版企画も、そのケースに当たる。数年前からユニバーサルのもと企画されているリメイク版は、2018年に『トレーニング・デイ』のアントワーン・フークアが監督交渉を入ったものの、今年2月に主演予定だった『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のディエゴ・ルナが降板したため、フークア監督の交渉も決まらず、新たに主演を雇わなければならなくなった。ただファンの期待値が高いため。単に知名度のない俳優を新たに雇えば、それで解決するという問題ではないことも、明確に理解できる。

 当然、名作を新たなTV作品や映画として描いて成功すれば、配信サービス会社の新規の会員やオリジナル作品のファンも味方につけることができる。ただその新作への評価が低いと、もともとオリジナル作品の評価が高いために、最低の作品に与えられるゴールデンラズベリー賞などの最低評価を受けやすいことも事実だ。

 最後に現在のハリウッドは、このコロナ渦で上記に挙げた新たな形態で、起死回生の一発を図っているが、彼らは1970~1980年代の名作、カルト的作品、ヒット作を通して、どんな新たな作品を生み出してくれるのだろうか?

参考

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https://www.theverge.com/2016/7/5/12096420/the-russo-brothers-the-warriors-adaptation-hulu
https://variety.com/2018/film/news/enter-the-dragon-remake-david-leitch-1202881469/
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https://www.cinemablend.com/news/2551289/scrapped-shining-prequel-would-have-answered-a-long-standing-fan-question
https://bloody-disgusting.com/movie/3602436/universal-blumhouse-developing-new-version-thing-will-adapt-long-lost-original-novel/
https://ew.com/tv/hellraiser-hbo-series-david-gordon-green/
https://www.tvinsider.com/945612/cobra-kai-season-3-netflix-details/
https://collider.com/diego-luna-leaves-scarface-remake/
https://www.thewrap.com/escape-from-new-york-writer-leigh-whannell-gives-status-update-remake/
https://www.quora.com/Why-does-Hollywood-keep-on-making-sequels-and-remakes
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https://stephenfollows.com/the-prevalence-of-sequels-remakes-and-original-movies/
https://mediau.com/content-wars-state-of-independent-film-2019/
https://www.indiewire.com/2019/09/half-of-independent-films-theatrical-release-few-make-money-1202177121/

■細木信宏/Nobuhiro Hosoki
海外での映画製作を決意し渡米。フィルムスクールに通った後、テレビ東京ニューヨーク支局の番組「ニュースモーニングサテライト」のアシスタントとして働く。現在はアメリカのプレスとして働き13年目になる。

■配信情報
『コブラ会』シーズン1~2
Netflixにて、独占配信中

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