ミュージカル界の歌姫・濱田めぐみとは? 『オヤハル』“前田のおばちゃん”の活躍に期待!

 私自身もこれまで複数回彼女にインタビューさせてもらったが、そのたびに舞台で観る姿と素で語る様子とのギャップに驚かされる。ひと言でいうと演劇漫画の金字塔『ガラスの仮面』のヒロイン・北島マヤと、ライバル・姫川亜弓とを足して2で割らず10をかけたような人である。マヤのように天才的なひらめきとセンスを宿し、亜弓のように恵まれた資質でありながら、誰よりも努力し結果を出す女優。が、その佇まいはつねに自然で、いつも明るくポジティブな空気に包まれている。

 これまで本人に聞いた中で「ですよねぇ」と深く頷いたエピソードといえば、舞台の稽古に入ると日常のことがどうでもよくなり、稽古着のまま車で稽古場に入って、そのままジャージ姿で帰宅していたところ、事務所から「……それはそろそろやめてほしい」と言われ、慌てて私服を買ったという話。マヤ……いや、彼女ならさもありなん。女優としての自分を良く見せることより、演じる人物に気持ちが100%向かうプレイヤーなのだから。

 そんなミュージカル界の歌姫・濱田めぐみだが、テレビドラマへの出演は『親バカ青春白書』が初。朝ドラ『エール』(NHK総合)で話題を呼んだミュージカル俳優陣=山崎育三郎、吉原光夫、古川雄大、小南満佑子、井上希美や、『半沢直樹』(TBS系)帝国航空編に“グレートキャプテン”として登場するや否や「あの機長、誰?」「めちゃくちゃシブくてカッコいい」とネットをザワつかせた鈴木壮麻に続いて今期ドラマの世界でどんな爪痕を残すのか。

 そのカギを握るのはもちろん、福田監督である。もともと濱田のファンであると公言し、彼女が劇団四季の舞台に立っていた時分には、遠征してまでその作品を観に行っていた監督。現状『親バカ青春白書』での前田のおばちゃん出演シーンは毎話1度のみで登場時間も1分弱だが、今後おばちゃんの過去が明らかになったり、大活躍の回があったり、観る者の魂を震わせる歌を披露する機会があったりするのか非常に気になる。

 そして最後に小ネタをひとつ。濱田めぐみがミュージカル『美女と野獣』ベル役として初めて四季の舞台に立った際、相手役の野獣を演じたのが、帝国航空・グレートキャプテンこと鈴木壮麻(当時は芥川英司)なのである。近年、映像の現場でも存在感を表すミュージカル俳優たち。次はどんなサプライズがあるのか楽しみだ。

■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter:@makigami_p

■放送情報
『親バカ青春白書』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:ムロツヨシ、永野芽郁、中川大志、今田美桜、戸塚純貴、小野花梨、谷口翔太、野間口徹、新垣結衣ほか
脚本統括・演出:福田雄一
脚本:穴吹一朗ほか
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:高明希、鈴木大造(クレデウス)
協力プロデューサー:白石香織(AX-ON)
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/oyabaka/
公式Twitter:@oyabaka_ntv

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