『半沢直樹』帝国航空編スタート 堺雅人と新たな登場人物たちの重厚な演技合戦にも期待
さて、半沢が示した再建案は内容を抜き出されて帝国航空社内に漏洩。反対派が講じた離間策によって、再建の機運は早くもしぼみかける。誰が情報を漏らしたのか? 谷川が言うところの「社内の不穏分子」をあぶり出すため、半沢は単身、伊勢志摩へ飛ぶ。そこで見たのは、政界とのつながりと役員の地位を利用した資金の還流だった。社員説明会の場で、「グレートキャプテン」の木滝英雄(鈴木壮麻)とともに、役員の黒い関係を暴く一幕は、これから始まる戦いの激しさを予感させるようだった。
余談だが、社員説明会のシーンでは、池井戸潤原作による日曜劇場ドラマでおなじみの全員参加カットが見られた。昨今の情勢を受けて、撮影現場でも新型コロナウイルス感染症対策が徹底されているが、説明会のシーンも席の間隔を空けた「ソーシャルディスタンス仕様」。要所要所で集合カットを挟みつつも画面の迫力は減殺されておらず、効果的なシーンとなっていた。
自ら進んで逆境に身を投じる半沢の胸にあるのは、顧客のために全力を尽くすことが、社会のため、ひいては銀行のためになるという揺るぎない信念だ。山久に語ったように、一見、スタンドプレーのようなパフォーマンスも自分のためではなく、クライアントを奮い立たせるためのもの。社内の不穏分子を叩き出し、足並みをそろえた帝国航空と半沢は、再建に向けて嵐の中離陸する。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS