『GREAT PRETENDER』と『コンフィデンスマンJP』、古沢良太脚本にみるアニメとドラマの特性

 現在、NetflixでSeason1がCase3(14話)まで配信されており、7月からフジテレビの「+Ultra」枠での放送も決定しているアニメ『GREAT PRETENDER』(以下、『グレプリ』)は、『リーガルハイ』や『コンフィデンスマンJP』(ともにフジテレビ系)などのテレビドラマで知られる古沢良太が、脚本とシリーズ構成を担当する作品だ。

 物語は日本で老人や観光客相手にチンケな詐欺をおこなっていた自称・天才詐欺師のエダマメこと枝村真人が、フランス人の信用詐欺師(コンフィデンスマン)、ローラン・ティエリーに騙されて詐欺師チームの一員として働くというもの。 

 毎回、ローランに騙されては詐欺に加担する真面目でお人よしのエダマエは、ボクちゃん(東出昌大)、信用詐欺を計画するが毎回行き当たりばったりで、何を考えているのかわからない謎に満ちたローラン、突出した身体能力で毎回、危険なアクションを担当する少女・アビゲイル・ジョーンズといったキャラクターにダー子(長澤まさみ)の役割が分割されていると考えると、信用詐欺を題材にした『コンフィデンスマンJP』を、そのままアニメ化したような作品だとも言える。

 しかし、古沢良太が同じ題材で脚本を書いているからこそ、国内の民放地上波で放送されるテレビドラマと、世界中の視聴者を想定したNetflix配信のアニメとでは、作品のテイストが微妙に変化しており、その違いがとても興味深い。

 物語は第1話が導入部となっており、エダマメとローラン、そして他の詐欺師の紹介となっている。『コンフィデンスマンJP』を観た人ならおわかりかと思うが、本作は、騙し騙されというコンゲームが延々と続き、味方と思ったら敵、敵と思ったら味方というひっくり返しが基本フォーマットとなっている。

 そして第1話後半に登場したハリウッドの映画プロデューサーで、実は裏で麻薬ビジネスを取り仕切っているカッサーノに最新合成麻薬(の偽物)を売りつけるというのがCase1(1〜5話)の流れとなっている。

 この辺りはNetflixで人気の『ブレイキング・バッド』や『ナルコス』といった麻薬売買を題材にしたドラマを踏まえてのものだろう。同時にカッサーノは、性的暴行で失脚した映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインを思わせる設定となっている。この辺りの目配せは「さすが古沢良太」という感じで、海外市場に打って出るにあたって、これしかないだろうというエピソードだった。

 ちなみにこういった国際的な話でネックとなる言葉の問題も、最初は日本語と英語を交えていたが、途中から「日本語に翻訳してお送りします」という形に変わる。その時に面白いのが、エダマエの英語が「おらを怒らせるとおっかねえど」といった口調になること。これはローランが言った「色んな訛りが混ざった奇妙な方言」を表現したものだが、こういったディテールの問題を、ひとつひとつクリアしていく手さばきも実に見事である。

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