『凪のお暇』から学べる自粛生活下の新たな生活　大切なのは“視点の転換”!?

　例えば、凪のように節約レシピに挑戦してみるのもよし。ふだんは外食やコンビニ弁当で食事を済ませている人が、自炊に精を出し、いっぱしの料理上手になることも夢ではない。また、筋トレしてビルドアップを図るもよし。人々が集まり、大いに抱き合えるような日が訪れれば、「たくましくなったねえ！」なんて声が方々から聞こえてくることだろう。さらに、寡黙な文学青年がテレビやネットを漁って、“ドルオタ化”してみたり、お笑いに詳しくなってみるのもいい。この環境下で停滞してしまっているように思えるカルチャーの盛り上がりに一役買えば、頼もしいことこの上ない。そして、口癖を自ら考案して“キャラ変”を狙えば、それこそ人々と再会したときに、みなに驚きを与えることもできるだろう。社会的な立場や要請によって“厳しさ”を求められている者がこれを実践すれば、新たな社会生活も見えてきて愉快だ。

　それに、自宅にいたってオシャレは楽しむことができる。挑戦してみたかったジャンルの服をいつか人前で着るために、この期間を予行練習の時間と捉え、着慣れる期間にするのもありだ。フリフリ系のファッションから攻撃力高めなファッションに転向したり、硬派な男性がガーリーファッションに転向するのも素敵である。これらの延長線上には、凪の“あるがままの自分”を志向する態度と重なるものがあるようにも思える。もしテレワークに集中できないならば、部屋着からパリッとした服に着替えると気が引き締まるのでオススメだ。靴まで履くとさらにいい。このようにしてこの期間に、ポジティブな意味で新しい自分に変化することや、本来の自分を取り戻すことだってできるのだ。大切なのは、視点の転換。さて、もうしばし、お暇いただきましょうか。

■折田侑駿
1990年生まれ。文筆家。主な守備範囲は、映画、演劇、俳優、服飾、酒場など。最も好きな監督は増村保造。Twitter

■放送情報
『凪のお暇 #お家でイッキ見SP』
TBS系にて放送（一部地域を除く）
5月23日（土）14:00～16:54（第8〜第10話）
出演：黒木華、高橋一生、中村倫也、市川実日子、吉田羊、片平なぎさ、三田佳子、瀧内公美、大塚千弘、藤本泉、水谷果穂、唐田えりか、白鳥玉季、中田クルミ、谷恭輔、田本清嵐、ファーストサマーウイカ、武田真治
原作：コナリミサト『凪のお暇』（秋田書店『Eleganceイブ』連載）
脚本：大島里美
演出：坪井敏雄、山本剛義、土井裕泰
プロデューサー：中井芳彦
製作著作：TBS
(c)TBS