新キャスト加わる劇場版にも期待 賀来賢人、伊藤健太郎、清野菜名ら『今日から俺は!!』俳優の飛躍

 2018年の10月期に日本テレビ系列で放送され、大きな話題を集めた『今日から俺は!!』。80年代後半から90年代にかけて連載され、アニメ化やVシネマ化もされたことがある西森博之の同名ギャグ漫画を、『銀魂』シリーズなどの福田雄一監督の演出のもとで実写化した本作は、80年代の空気感の再現もさることながら、福田作品の常連俳優を中心とした個性の強すぎるキャスティングとゲストキャストの豪華さでお茶の間の視線を独占。とりわけメインキャストを中心とした、確かな演技力を持ちながらもなかなか飛躍の機会が巡ってこなかった若手俳優たちが、こぞって本作をきっかけにステップアップしていったことは見逃せない現象といえるだろう。

『AI崩壊』(c)2019映画「AI崩壊」製作委員会

 まず主人公の三橋役を演じた賀来賢人といえば2007年の俳優デビュー以降様々な作品でバイプレイヤー的な存在感を発揮し、NHK大河ドラマ『花燃ゆ』では沖田総司役を演じるなど、その演技力には定評があった反面、際立った特徴のある俳優ではなかったというのが率直な印象だ。しかし舞台劇を経て、『俺はまだ本気出してないだけ』や『斉木楠雄のΨ難』といった福田作品でコメディへの適性の高さを示すと、この『今日から俺は!!』でそれをさらに弾けさせる。もっぱら本作での弾けたキャラクター性が浸透したことによって、その後の『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』(日本テレビ系)や『AI崩壊』で見せるシリアスな表情とのギャップが活きることとなり、名実ともに演技派俳優としての地位を確立したのである。

NHK連続テレビ小説『スカーレット』(写真提供=NHK)

 また三橋の相棒である伊藤役を演じた伊藤健太郎も、本作での“伊藤”という役名を契機にそれまでの芸名から本名へと改名したほどの気合の入れようからもわかる通り、彼の俳優キャリアにおける大きな転機になったことは間違いないだろう。『先生! 、、、好きになってもいいですか?』や『アシガール』(NHK総合)などで、すでに2017年頃から頭角を現しはじめた伊藤は、本作の出演後には主演を務めた『惡の華』で挑戦的な演技を披露したり、この夏には出演映画が一挙に公開されるほどの人気ぶりだ。しかも最近では『スカーレット』でNHKの朝の連続テレビ小説にも進出したほど。

『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(c)読売テレビ

 朝ドラといえば本作出演前のNHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』で、それまでのアクション女優としてのイメージからどことなく昭和的な清純派イメージを獲得した清野菜名も忘れてはならない。本作で見せたアクションと清純派のハイブリッド演技が光り、『やすらぎの刻〜道』(テレビ朝日系)にも活かされると、再び日曜ドラマ枠の『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(読売テレビ・日本テレビ系)に、今度は主演として返り咲くほどの成長を遂げた。そして『今日から俺は!!』以前から圧倒的な知名度と人気を有していた橋本環奈でさえも、『銀魂』シリーズと『斉木楠雄のΨ難』でイメージに囚われないコメディエンヌぶりに拍車をかけ、本作を節目に一気に女優としての出演作が増加。『キングダム』の河了貂役をはじめ、サスペンスからラブコメまで幅広くこなす女優として、たしかな成長を見せているのだ。

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