松下洸平演じる八郎の魅力が止まらない! 『スカーレット』が描く物作りの根源

 『スカーレット』(NHK総合)第11週「夢は一緒に」では、喜美子(戸田恵梨香)と八郎(松下洸平)が常治(北村一輝)のもとへ挨拶に訪れる。

 “授業料”という名の夫婦貯金を始めたり、大阪に映画を観に行き美術館、絵画展を巡る約束をしたりと、順調に愛を育む「ハッチー&ミッコー」こと八郎と喜美子。しおらしい喜美子の表情に思わず布団に顔を突っ込んで叫ぶ八郎の姿は、好きで堪らない心情を上手く伝えた名シーンである。「一緒に乗り越えよな」。そんな八郎のセリフを経て、やっと辿り着いた常治への交際の挨拶。「いつか陶芸家になりたい夢を持ってる……そんな夢、必要ですか?」。両親を早くに亡くし、苦労して美術大学を出た八郎の生い立ちを知った常治は、丸熊陶業という安定した職場にいてほしいと伝える。常治が結婚の条件として八郎に提示したのは、陶芸展での受賞だった。

 陶芸展に向け、集中して作陶に取り組む八郎。彼の横で土をこね、一緒に夢を追う幸せを味わう喜美子。八郎の大鉢は焼きあがったが、若社長・敏春(本田大輔)の評価は「この色でええんか。綺麗に焼けているだけ、それだけ」と厳しい。作品作りは一からやり直しに。休みの日を返上して、八郎は作陶に没頭していく。

 一息入れて頭を柔らかくするためと、喜美子は八郎をカフェに誘う。カフェとは、信作(林遣都)の実家が大野雑貨店から改装したお店。信作だけでなく大野夫妻ともすっかり打ち解けている八郎は、お店に湯飲みを提供していた。それをきっかけに、八郎は夫妻からコーヒー茶碗の制作を依頼され、快諾してしまうのだった。

 カフェの開店は年明けの1月15日、そして陶芸展の締め切りが1月末。喜美子は夫妻の依頼を受けてしまう八郎が理解できずに、作品が思うようにいかないからコーヒー茶碗に逃げているのではないかと彼を責める。しかし、そこにあったのは陶芸家を夢見る八郎の変わらぬ思いだった。

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