『凪のお暇』インタビュー

『凪のお暇』中村倫也が考える、“やりたいこと”の叶え方 「初期衝動を新鮮な気持ちでキープする」

「空気を悪くする必要がある時もある」


――「空気を読む」ことに対してはどう考えますか?

中村:うーん、難しいですね。空気を読むのが上手いか下手かはあると思いますが、みんな自然にやってることではあるんじゃないですか?

――「KY(空気読めない)」という言葉は平成19年の流行語で、ちょうど10年くらい前です。その頃から、世間的にも強く「空気を読む」ことが意識されていて、凪ちゃんと慎二も空気にとらわれています。そういう今の時代を生きる、空気にとらわれている人たちに向けて、中村さんなりのアドバイスはありますか?

中村:優先順位を決めたほうがいいですよね。このドラマが放送されて、いろんな記事でも取り上げていただいていますが、そこに反応している読者や視聴者の方は、程度の差はあれ空気を読む・読まないということに悩んでいる人だと思うし、悩んでいるということは優先順位の上位にあるんだと思うんです。

 空気を読めなくて嫌われても自分が楽しければいいやって人もいて、その人は「自分の楽しさ」の方が優先順位が上なんだろうし。空気を読まなきゃ、読みたい、読めるようになりたいんだったら、徹底的にやってみたらいいんじゃないんですかね。大抵落ち着きどころが見つかる気がするんだけど。……空気、僕自身はよく分からないんですよ。こういう仕事だから、「いや、それ間違ってるでしょ」って言えちゃうし、それで仕事がなくなったらしょうがないくらいの感覚でやっているので……。

――相手との間柄や場所にもよりますよね。

中村:会社だと重要な時もあるんだろうし、そういった働き方をされているみなさんの「空気を読む」とは、もしかしたら僕の場合はちょっと違うのかもしれないです。空気を悪くする必要がある時もあるから。

――そうなんですね。

中村:作品を良くしたいから、みんなが楽しんで率先してやっていたり自分も楽しい時でも、みんなの笑顔を壊してもでも言わなきゃいけないことはあるから、僕の中の優先順位に則って、空気をあえて読まないという選択することはあります。でもそれが、正解かどうかも分からないですから。だから……空気っていうよりも周りに誠意を持って行動すればいいんじゃないですか? 空気なんてどうせ見えないんだから(笑)。大事なものを守ったり、大事な人を笑顔にするためにその都度行動できればいいんだと思いますよ。きっと空気を読ませようとする人が多い環境の方が問題なんですよ。今、すごい深い話になりましたね?

――はい。かなり心に響きました。

中村:よかったです。

――凪ちゃんも慎二も「お暇」しましたが、中村さんにとって「お暇」したいなと思うことありますか?

中村:適度には休みが必要だと思います。あまり長すぎても寂しいし、週1〜2日休みがあればいい人間なので。家族ができて将来、「夏休みだ、正月だ、旅行に行きたい」ってなったら「お暇いただきます」って言うと思いますけど、まだ独り身なので、今はこんなペースでいいですね。仕事がなかった頃、腐るほどお暇があったので、もう困っていました(笑)。こういう仕事だから休みが多すぎても不安になるというか。

――凪ちゃんを見ていると、自分を見つめる時間は必要ですが、休み過ぎても周りと比べて不安になったりもするものなのかなと。

中村:凪ちゃんに関しては、「もう逃げちゃえば」って思います。逃げた先で見つかるものもあるだろうし、それがこのドラマのスタートでしたよね。自分を守るために無責任になる必要がある時もあるんじゃないかと。過労死みたいなの、もう嫌じゃないですか。自分の心と体を守るためだったら、会社にとっては迷惑であっても、自分を守れるのは自分だけなので、そういう責任をほっぽり出す勇気も必要なんじゃないかなとは思います。

(取材・文・写真=大和田茉椰)

■放送情報
金曜ドラマ『凪のお暇』
TBS系にて9月20日(金)22:00~22:54最終話放送
出演:黒木華、高橋一生、中村倫也、市川実日子、吉田羊、片平なぎさ、三田佳子、瀧内公美、大塚千弘、藤本泉、水谷果穂、唐田えりか、白鳥玉季、中田クルミ、谷恭輔、田本清嵐、ファーストサマーウイカ、武田真治
原作:コナリミサト『凪のお暇』(秋田書店『Eleganceイブ』連載)
脚本:大島里美
演出:坪井敏雄、山本剛義、土井裕泰
プロデューサー:中井芳彦
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/NAGI_NO_OITOMA/

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