『なつぞら』比嘉愛未が魅せる“大人”のオーラ クールなだけじゃない表情の豊かさが魅力に

 そして面白いのが、仕事一筋で生きている人物なので、恋愛に対しては少し未熟なキャラだということ。一見自立しているように見えて、恋愛の話になると弱みを見せる時の可愛らしさも魅力の一つだ。これまでも、なつの兄である咲太郎(岡田将生)に対し、複雑な感情を抱くシーンがあったが、実は咲太郎を一途に待っている純情な役柄。今まで自立した女性を多く演じてきた比嘉の良さを出しつつ、コミカルな新しい魅力も見どころだ。今週は、咲太郎がマダムに結婚を申し込む計画を企て、マダムも咲太郎との結婚を考えていることがわかる急展開を迎えているが、いったいどうなるのか。

 また、『TWO WEEKS』では、初の母親役を演じている。最初は白血病に侵された娘を助けなければいけないと強張った顔が多かったが、回を重ねるごとに娘を思うやさしい顔を見せるようになった。これから母親役が増えていくだろうと実感させる演技が、実に板についている。

 デビューの頃から変わらぬイメージのまま年齢を重ね、様々な背景を持つキャラクターを巧みに演じる比嘉。女性としての凛々しさだけではなく、その裏に見え隠れする寂しさを醸し出すことができるのが、比嘉の魅力ではないかと思ったりもする。正統派だけどミステリアス。今回のマダム役や母親役が当たり役となったことで、30代の女優として演技の幅を広げ、現代の大物女優の1人になりそうな予感をさせる。

(文=本手)

■放送情報
連続テレビ小説『なつぞら』
4月1日(月)〜全156回
作:大森寿美男
語り:内村光良
出演:広瀬すず、松嶋菜々子、藤木直人/岡田将生、吉沢亮、清原翔/安田顕、音尾琢真/小林綾子、高畑淳子、草刈正雄ほか
制作統括:磯智明、福岡利武
演出:木村隆文、田中正、渡辺哲也ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/natsuzora/

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