『ゴーストランドの惨劇』パスカル・ロジェ監督が語る、女性を描き続ける理由とハリウッドの現状

『ゴーストランドの惨劇』パスカル・ロジェ監督が語る、女性を描き続ける理由とハリウッドの現状

「今のハリウッドは暗黒期にある」

ーーあなたの作品では常に女性が恐ろしい目に遭う役割を果たしています。なぜ男性ではなく女性なのでしょうか?

ロジェ:現場でたくさんの時間を一緒に過ごすなら、僕みたいなルックスのおじさんよりも美しい女性の方が楽しいからだよ(笑)。真面目に言うと、僕にとって世界の中で一番の謎が女性だからだ。単純に男として女性に惹かれるし、脚本を執筆中に感受性が高まって自分の性格の中にある女性的な部分が発揮されているからかもしれない。映画は作るのが大変なものだけど、多くの場合、男性よりも女性の方が勇敢だということも理由の一つとしてあるかもしれない。どんなに大変な現場でも、女性の方が進んでいく力を持っているし、自分の感情を見せることも女性の方が怖がらない部分があるんだ。

ーー常に女性が悲劇に見舞われるということで、批判的な意見も寄せられていますよね。

ロジェ:ミソジニストやセクシストとして、15年前の『マーターズ』の頃から攻撃されているよ。しかも今回の場合、悪役のひとりがトランスジェンダーだと思われるキャラクターだったから、僕のことをトランスフォビアだと責める人もいた。僕自身、僕の作品をそういうふうに判断して批判する人たちのことを敵だと思っているし、大嫌いだ。そういう人たちは、ダリオ・アルジェントの作品についても30年の間くだらない批判をし続けていて、全くもっと馬鹿げていると思う。僕の作品については、観てもらえれば僕がキャラクターに寄り添っていることがすぐに分かる。僕の物語の中では、日々の苦労や苦悩、苦しみ、痛みなどを悪のメタファーとして描いていて、キャラクターたちはその悪を経験することによって、何かを学んでいく。どの作品の中でも、女性たちは“被害者である”というレッテルを否定しているんだ。今回の作品においても、姉妹の2人は人形扱いされるけれど、彼女たちは「私たちは被害者じゃない」と真っ向から否定する。だから、そういうことを読み解けずに作品を否定する人たちは、何も考えていないと言えるね。ただバイオレンスのレベルを見て、そのリアクションをしているだけだ。

ーーまさにその通りだと思います。最後にひとつ聞かせてください。『マーターズ』は2015年にハリウッドでリメイクされましたが、現在ハリウッドではホラー映画のリメイクやリブートがひとつの潮流になっていますよね。そのようなハリウッドの現状について、あなたはどのように見ているのでしょうか?

ロジェ:イマジネーションの欠落だと言えるね。リスクを取ることもしないし、冷たい工場のような映画作りになっていると思う。今のハリウッドは、お金しか見ないような人たちに支配されていて、作家性のある作り手の声が全く響かない作品ばかりが作られている。今までのハリウッドの中でもっとも良い時期ではない、暗黒期にある。特にホラー映画の平均的なレベルもかなり落ちているね。だから大人の観客たちは、映画館に映画を観に行かず、テレビを観るようになっている。それだけクリエイティビティや良いものを作ろうという志を持った作品が減ってしまっているし、全てがスーパーヒーローのような子供向けの作品になっていて、僕らが観るような作品が作られていないんだ。僕が子供の頃は、ウォルト・ディズニーの作品から始まって、そこから『タクシードライバー』や『ゴッドファーザー』、セルジオ・レオーネの作品など、大人向けの作品を観ることができた。今のハリウッドで作られているような子供向けの作品はなかったんだ。僕たちは、そういう当時作られていた複雑で豊かな素晴らしい作品に触れていたからこそ、こうやって映画オタクになった。今ハリウッドがそういった作品を作ることができなくなってしまったのは、僕らの世代からしたら不思議だし、とても奇妙なことだと感じるよ。ただ、全てはサイクルで変わっていくから、おそらく長くは続かないだろう。より興味深い作品たちが生まれるようなサイクルが次に来ることを心から願っているよ。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『ゴーストランドの惨劇』
新宿武蔵野館ほかにて公開中
監督:パスカル・ロジェ
出演:クリスタル・リード、アナスタシア・フィリップス、エミリア・ジョーンズ、テイラー・ヒックソン、ロブ・アーチャー、ミレーヌ・ファルメール
提供:ニューセレクト、キングレコード
配給:アルバトロス・フィルム
2018年/フランス・カナダ/英語/91分/シネマスコープ/5.1ch/原題:Ghostland
『ゴーストランドの惨劇』(c)2017 – 5656 FILMS -INCIDENT PRODUCTIONS -MARS FILMS -LOGICAL PICTURES
公式サイト:http://ghostland-sangeki.com/

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