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ジョージア州の中絶規制法で揺れる米エンタメ界 撤退表明後の各社の取り組みと経済的課題とは?

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 今、アメリカではジョージア州を巡って、映画/TV界と政界で大きな争いが勃発している。これは米共和党の中でも、超保守派として世間から知られているジョージア州のブライアン・ケンプ現知事が、妊娠中絶を厳しく制限する人工妊娠中絶規制法案に署名したことで、ジョージア州で撮影を行ってきた映画・テレビ業界の大手各社が、この州法が施行されれば、同州でのロケ実施を見直すと相次いで表明したからだ。

 その今年の5月7日に成立した法案というのが、ジョージア州では胎児の心音が確認できる段階に入った後の中絶を禁じる「ハートビート法案」だ。つまり、胎児のハートビート(心音)が確認された妊娠の6週目をめどに、中絶を禁止するという法案で、この時点では妊娠に気づかない女性も多いと思われる中で、女性にとって、あまりにもひどい法案が可決されたからだ。ちなみに、これよりもっと厳しいのはアラバマ州で、こちらは妊娠のどの段階でも人工中絶を禁止、性的暴行や近親相姦による妊娠でも例外と認めない法案を可決。中絶手術をした医師には、最長で99年の禁固刑を命じる厳しい法案を州知事が署名してる。

 そしてこの女性の権利を無視した人工妊娠中絶規制法が成立したことを受け、米メディアや映画界の大手、Netflix、ウォルト・ディズニー、ワーナー・メディア、NBCユニバーサル、ソニー・ピクチャーズは、新法が施行されれば同州では今後、撮影を行わないことや、新たにロケ地を見直す検討をすると表明したのだ。そして、この新法が施行されるのが2020年の1月1日。

 今回、なぜこれほどまでにジョージア州に注目が集まるかと言うと、多くの映画・TV番組が製作されているからで、そのロケ地の数は、ロサンゼルス、ニューヨークに次いで全米3位。しかも、最大30%の税額控除を認めていて、昨年だけで約9万2100人を雇用し、46億ドル(約4900億円)の賃金をもたらしたからだ。つまり、映画やTV業界がジョージア州から撤退することになると、ジョージア州は大打撃を受けることなるのだ。

 そして、その映画/TV界と政界の対立の大きなきっかけを作ったのが、1973年に女性が人工妊娠中絶手術を受ける権利が連邦法として認められた「ロー対ウェイド裁判」だ。中絶に反対する保守派(共和党議員)はこの法律を覆し、米国内で中絶手術禁止を認めさせる方向へ持ち込もうとしており、これを中絶反対派(プロ・ライフ)と呼ぶ。一方、女性の中絶の権利を擁護し、この法律を支持しているのが、ハリウッドのTV/映画業界で、これを中絶権利擁護派(プロ・チョイス)と呼ぶ。

 まず、プロ・チョイスを支持する人のコメントは、日々、米メディアでも取り上げられることが多く、その中でも最初に立ち上がったのが、#MeTooムーブメントを最初に起こした女優アリッサ・ミラノ。彼女は、施行されれば同州での撮影には参加しないとの見解を示した。これによって多くの女性セレブが次々に、この法案にコメントを残すようになった。

 その一方で、プロ・ライフ派の主張は、胎児の命の価値、あるいは政府はすべての人命を保護する義務があると考えたり、さらにカトリック教の倫理による妊娠中絶の禁止など道徳的な立場から主張しているコメントが多いようだ。

      

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