池田エライザ、今田美桜、橋本環奈……平成/令和を駆け抜ける福岡出身女優の台頭
主演映画『貞子』が間もなく公開される池田エライザ、ドラマ・映画において名実ともにうなぎのぼりに存在感を発揮する今田美桜、そして圧巻のスケールで描かれたマンガの実写化作品『キングダム』で可憐な姿を披露している橋本環奈。彼女たちは、いまをときめく三人の若手女優だが、同世代の女優であること以外にも、“福岡出身”という共通点をもっている。
池田エライザ
池田エライザといえば、キャリアのスタートはモデル業。10代前半から『ニコラ』の専属モデルとして活動し、『高校デビュー』(2011)で映画に初出演を果たした。その後、「自撮りの神」などとしてSNSを中心に話題となった彼女は、高身長を活かして『CanCam』のモデルとして活躍。2015年に公開された『映画 みんな!エスパーだよ!』のオーディションでヒロイン役を射止めて以降、女優活動を活発化させている。
『オオカミ少女と黒王子』(2016)、『ReLIFE リライフ』(2017)、『トリガール!』などのティーン層をターゲットととした作品で愛らしい姿を見せる一方、初主演映画『一礼して、キス』(2017)、『伊藤くん A to E』(2018)、『チェリーボーイズ』(2018)では際どく艶めかしい姿を披露。『となりの怪物くん』(2018)に『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018)、封切り目前の『映画 賭ケグルイ』では、若手キャストの中でもその中核を担う存在であることを証明している。すでに多くの作品への出演で経験値を上げてきたのも事実だが、モデル出身者らしいプロポーションや、大きなタレ目に甘い声、そういったものが有機的にはたらき、池田のカリスマ性や特異なキャラクター像の成立に繋がっているではないだろうか。歴史ある『リング』シリーズの系譜に連なる『貞子』での主演も、業界からの彼女への信頼度の高さがうかがえる。監督業に乗り出す企画も進行中であり、大きな注目を集めているが、ここでも彼女の異才が発揮されそうである。
今田美桜
続いて、このところ急激に知名度を上げているのが今田美桜である。地元でスカウトされ福岡で芸能活動を開始した彼女は、“福岡一の美少女”として注目を浴び、それはやがて全国区へ。まだ女優としてのキャリアは短いものの、『デメキン』(2017)でヒロイン的ポジションを獲得し、主演した『カランコエの花』(2018)は短編の自主制作映画ではあるものの、高く評価され、早くも彼女の代表作の一つとなった。
その彼女が一気に名を広めたのが、『花のち晴れ〜花男 Next Season〜』(2018/TBS系)と『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(2019/日本テレビ系)の二作である。両作に共通するのは、彼女がヒール(悪女)役を演じたということ。その口ぶりや仕草、表情ひとつをとっても、その悪どい印象を根強く残している。それでいていずれも、正対するヒロインたちの心強い味方へと、やがては変わっている。“善と悪”、両極端の演技の転換が鮮やかなのだ。この二作や、映画『君は月夜に光り輝く』などで“二番手”的なヒロインポジションを好演しているのだから、今後は正統派ヒロインを演じる機会も多く訪れるであろうし、演技の転換が鮮やかとあって、ぜひ多重人格者の役なども演じていただきたいところだ。