賀来賢人が確立した“二枚目コメディ俳優”というポジション 同世代のなかで抜きん出た個性とは

 賀来のキャラクターがここにきて人気になった理由はいくつか考えられる。1つは、お笑いの在り方が変化してきたことだ。SNSなどでも、人を馬鹿にしない、暴力を振るわない笑いを支持する流れができている。人気のお笑い芸人はサンドウィッチマン、バナナマン、おぎやはぎなどコンビ仲がよく愛情に溢れた人柄が売りの芸人ばかり。俳優が演じるマイルドなコメディが視聴者にとっても心地よいと感じる時代になってきたのではないだろうか。

日本生命「NEW in 1」CM

 さらに2つ目として、賀来は、整った顔にも関わらず思い切りよくふざけられるサービス精神がある。その行動は、クラスに1人はいる、おふざけキャラでモテた男子を想起させる。ふざけているものの、誰かを傷つけたりバカにしたりしているわけではない。故に子供から大人まで、男性も女性も分け隔てなく好印象を持たれやすいのだ。明るく場を盛り上げるクラスの男子に好意を持つように、賀来の全身全霊のコメディはクスリと笑いながらも「好きだな」と感じさせるパワーがある。憎めないのだ。そんな賀来の芝居の個性と『今日から俺は!!』の三橋は非常に相性がよかったのではないだろうか。ゆえに大ブレイクを果たした。

花王 アタックZERO 「ゼロ洗浄、はじまる」篇(60秒) CM 松坂桃李/菅田将暉/賀来賢人/間宮祥太朗/杉野遥亮

 賀来は5月に『ドラマスペシャル 死命〜刑事のタイムリミット〜』(テレビ朝日系)の出演を控える。病で余命宣告を受けている殺人犯という、自身の得意としてきたキャラクターとはまた異なる表情を見せる作品だ。さらに7月には『WOWOWオリジナルドラマ アフロ田中』がWOWWOWプライムでも放送予定。映画でも人気を博した『アフロ田中』のドラマ版であり、賀来の真骨頂であるコメディ作品である。それぞれテイストの違う作品だが、勢いある賀来の手にした次のチャンスでどう魅せてくれるのか。今後の賀来の活躍から目が離せない。

■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter

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