『アベンジャーズ/エンドゲーム』公開直前! 過去作を振り返りながら見どころを徹底解説
『エンドゲーム』の見どころは?
公開1か月を切ってから、新たな予告やポスターが複数お披露目され、最近に至っては2秒足らずの新映像が毎日のように流れてくる。厳重な情報管理がされているとはいえ、ヒントが大渋滞している今、MCUの長い歴史を踏まえた上での、本作の注目ポイントをまとめたい。
『アントマン』は必修科目?
『インフィニティ・ウォー』は制作当初サブタイトルに、“パート1”が入る予定で、『エンドゲーム』は、“インフィニティ・ウォー パート2”になるはずだった。もし今から復習するのなら、21作は無理でも『インフィニティ・ウォー』は不可欠だ。ただもう少し時間が許すのなら、『アントマン』シリーズもリストに入れておくべきかもしれない。なぜなら『エンドゲーム』、さらにはこれからのフェーズ4にとっても重要な作品になる可能性があるからだ。
以前最初の予告編が公開された際、本作のタイムトラベル説に触れた(参考:タイムトラベル説濃厚? 『アベンジャーズ/エンドゲーム』予告編から考察できること)。その後、公開された映像を確認しても、シーンごとで、ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)の髪色が変わっていたり、クリント・バートン(ジェレミー・レナー)の腕にタトゥーがあったりなかったりするので、その説は現実味を帯びてきている。
そして、タイムトラベルに必要とされるのが、『アントマン』シリーズで描かれた“量子世界”だ。量子世界は、時間と空間を超越した世界のこと。『アントマン&ワスプ』では、スコット・ラング(ポール・ラッド)たちが、量子世界に閉じ込められた初代ワスプのジャネット・ヴァン・ダイン(ミシェル・ファイファー)を救った。この量子世界を用い、アベンジャーズは時空を超えるのではないかと言われている。実は、量子世界に行ったことがあるヒーローがアントマンの他にもいる。ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)だ。『ドクター・ストレンジ』の監督スコット・デリクソンは、劇中でストレンジが飛ばされたマルチバースの中の1つが、量子世界であることを認めている。つまり、ストレンジは魔術を用いて、量子世界に行くことができるのだ。
さらに、MCUの愛すべきネタバレ担当のトム・ホランドが、『エンドゲーム』でストレンジと量子世界が絡むことをうっかり話していた。『インフィニティ・ウォー』のプレスツアーで、ホランドは「カンバーバッチは量子世界について話さなければならないから難しいセリフがたくさんある」とこぼしたのだ。ご存知の通り『インフィニティ・ウォー』に同様のシーンはない。『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』は立て続けに撮影されていたため、ホランドが混同し、『エンドゲーム』について口を滑らせたのではないかと話題になった。『ドクター・ストレンジ』の続編は、2021年公開を目指し、企画が進行中。フェーズ4で量子世界に深く触れ、MCUの世界を広げるのは、不自然なことではない。『エンドゲーム』を深く理解するためにも、『アントマン』を復習し量子世界を念頭に置いても、損はなさそうだ。
ちなみに、『アントマン&ワスプ』の未公開シーンには、ジャネットが量子世界と対話しているシーンが収録されている。どうやら、ジャネットは30年間ただ閉じ込められていただけではないらしい。量子の世界は、まだまだ深く広い。
ロケット、臆病者卒業へ
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの一員であるロケット(ブラッドリー・クーパー)は、『インフィニティ・ウォー』でサノスに会っていない。ガーディアンズと分かれるときも、ソー(クリス・ヘムズワース)と共に武器を作る道を選択し、サノスがワカンダに降り立った時も攻撃する場面がなかった。
「必死でイキがってても、誰よりも臆病者だ」。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』でロケットは、似た者同士であるヨンドゥ(マイケル・ルーカー)にこう言われた。ロケットは怯えて、サノスとの戦闘を避けていたのかもしれない。でもきっと彼の臆病さの奥にある優しさを考慮すれば、ロケットはグルート(ヴィン・ディーゼル)がサノスに会わなくてすむ道を探していたのではないかとも思う。
ロケットは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でグルートを失った。それから『リミックス』では、自分を理解してくれたヨンドゥも亡くした。『インフィニティ・ウォー』では、ネビュラ以外の仲間がサノスの犠牲になる。『エンドゲーム』の予告では、ネビュラと並ぶ悲しそうなロケットが映っており、これから訃報を知ると思うと今から胸が痛い。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のジェームズ・ガン監督はTwitterで、グルート(正しくは2世)の最後の言葉を「Dad(父さん)」だと訳している。遺伝子改造という暗い過去を乗り越え、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で仲間を得て、『リミックス』で父となったのに、再び孤独を余儀なくされた彼は、初期アベンジャーズに並ぶくらい生き残ったメンバーの中では濃いバックグラウンドを持っていると言えよう。
ロケットが今回残ったのは、必ず大きな意味がある。すでに新映像の中でも、「俺の船で吐くなよ」と初めて宇宙に出るスティーブ、ナターシャ、ジェームズ・ローズ(ドン・チードル)をちゃかしながらも、パイロットという重要な役割を務めていた。生存メンバーはそれぞれ大切な仲間を亡くしているが、ロケットのサノスへの恨みは人一倍大きく、その愛が、彼が臆病さを乗り越える大きな力になりうる。もう臆病ものとは言わせない。かつてグルートの肩に乗って戦ったように、予告編ではウォーマシンの肩に乗り、戦闘に挑んでいた。さらに嬉しいことに、本作の製作総指揮には、『Guardians of the Galaxy Vol. 3(原題)』の解雇劇を乗り越えたガンも参加している。悲劇続きのロケットが花道を歩く準備は、もうこんなに整っているのだ。