ホラー/スリラーのマエストロたちが集結! 『アンフレンデッド:ダークウェブ』の恐怖のアイデア
マタイアスが拾ったパソコンの隠しフォルダには、女性が監禁されていたり、ドラム缶に閉じ込められていたりと、ショッキングな動画が大量に保存されている。さらにそのパソコンでは、ネットの裏世界といわれる“ダークウェブ”に繋ぐことが可能で、クライアントが要求するおぞましい動画が取引されている。そんな危ない情報を、ひょんなことから手に入れてしまったマタイアスと友人たち。持ち主からは「通報したりネットの接続を切ったら殺す」と脅される。「パソコンを拾っただけなのに」、こんな目に遭うなんて非常に理不尽な人生だ。
1作目を振り返ってみると、幽霊ローラ・バーンズはミキサーに手を突っ込ませるなど、慈悲のかけらもないやり方で襲いかかってきたが、「いじめっ子に仕返ししたい」という強い思いから関係のない人は巻き込まず、当事者のみをターゲットにしてきた。一方、本作の“ダークウェブ”の人間は、顔も名前も居場所も不明、さらにマタイアスの耳の聞こえない恋人アマヤや、入院しているマタイアスの友人の母親などゲームに参加していない人々までをも巻き込んでいく。
実は人間は、昔から正体不明のものに怯える傾向がある。江戸時代までの灯りのない時代は、真夜中の暗闇には魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうごめくと恐れられ、科学が発展した現代、とくに日本ではウイルスを恐れマスクをする人が絶えない。恐怖を感じたとき、危険を回避しようとするのは人間の本能である。
ホラー映画においても“恐怖の対象”の謎が深まれば深まるほど、本能的に観客の好奇心が高まる。「なぜ死ぬのか」や「どうやったら生き残ることができるのか」という疑問を、映画館という安全が保証された環境で恐怖を疑似体験しながら、問題解決する。さらに、それはある種の快感にも繋がる。アイデアや魅せ方が斬新であれば、有名な俳優や監督を起用しなくとも大ヒットが見込めるのがホラー映画の面白いところだ。
ティムール・ベクマンベトフに加え、『パラノーマル・アクティビティ』『パージ』『ヴィジット』『ゲット・アウト』などを手掛けてきた天才プロデューサー、ジェイソン・ブラム、そして『THE JUON/呪怨』のスティーヴン・サスコなど、ホラー/スリラーのマエストロたちが集結した本作。『search/サーチ』ではネットを最大限に駆使して娘の命を救ったが、『アンフレンデッド:ダークウェブ』では良かれと思って利用したサービスが人を殺す引き金になるなど、日常生活で思いもよらない恐怖のアイデアが散りばめられている。
(文=阿部桜子)
■公開情報
『アンフレンデッド:ダークウェブ』
新宿シネマカリテ、なんばパークスシネマほかにて公開中
監督・脚本:スティーブン・サスコ
プロデューサー:ジェイソン・ブラム、ティムール・ベクマンベトフ
出演:コリン・ウッデル、ベティ・ガブリエル、レベッカ・リッテンハウス、アンドリュー・リース、コナー・デル・リオ
ユニバーサル映画
配給:ミッドシップ
2018年/アメリカ/93分/原題:Unfriended: Dark Web
(c)2018 Universal Studios. All Rights Reserved.
公式サイト:dark-web.jp