ビートたけし、生田斗真、峯田和伸……『いだてん』回を重ねるごとに魅力を増す登場人物たち

 最後に、ビートたけしが演じる古今亭志ん生について紹介する。家族から注意されているお酒を飲み、ほろ酔いのまま高座に上がってしまった志ん生。落語「芝浜」を噺していたつもりが、四三のオリンピック予選大会を語り出してしまったり、噺の最中に居眠りをしてしまったりとかなりいいかげんだ。しかし、噺を聞きに来た客からは「寝かせといてやれよ!」と声がかかり、他の客たちがドッと笑うシーンがある。いいかげんにも関わらず、観客から、そして家族や弟子から愛される姿が印象深い。「落語の神様」とも呼ばれる古今亭志ん生だが、孝蔵時代の”悪童”っぷりを時折醸し出すことで、ビートたけし演じる志ん生にはどこか茶目っ気がある。それは、長年お笑い芸人としてお茶の間をわかせてきたビートたけしだからできる演技なのではないだろうか。

 豊かな出演者で溢れる『いだてん~東京オリムピック噺~』。回を追うごとに、主人公・四三と登場人物たちが複雑に交錯していく。今は接点の少ない登場人物たちの動向も気になるところだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45 
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45 
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/
写真提供=NHK

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