加藤雅也、二枚目も三枚目もこなすダンディさ 『まんぷく』『二階堂家物語』で放つ大人の色気

 現在放送中のNHK連続テレビ小説『まんぷく』でヒロイン福子(安藤サクラ)が働く喫茶店、パーラー白薔薇の人情味あふれるマスター・川上アキラ役を演じて話題の加藤雅也。奈良県出身で関西弁ネイティブとはいえ、妻・しのぶ役の牧瀬里穂との軽妙かつコテコテのやりとりは、まるで夫婦漫才を見ているようだ。

 また、「You are coffee,OK!」などと、間違った英語を多用して注文を受けるように、苦境に立たされた福子の頼みごとも快くすんなり応えてくれる。その優しさには、不思議なほど癒されてしまう。

『まんぷく』写真提供=NHK

 何しろ、常に損得勘定で行動して、利益だけを求める男、世良(桐谷健太)がパーラー白薔薇の常連で、いつもライスカレーを食べているくらいなので、味もコスパも折り紙。こんな喫茶店が近所にあったら毎日通いたくなること間違いなし。そんな癒しの空間を提供してくれるマスター、川上アキラの存在は、やはり気になる。

 パリコレなどに出演し、モデルとして活躍した後に俳優としての道を進み始めた加藤。『青春家族』以来、30年ぶりの朝ドラ出演で、俳優生活30周年となる。『まんぷく』のマスター役には当初、そのギャップに驚かされもしたが、美形でクールなイメージが強いゆえ、懐の深さと存在感がより際立って感じられるようだ。

 そして、公開中の映画『二階堂家物語』では、『まんぷく』で見せるひょうきんでお茶目なキャラクターとは全く違う、跡継ぎ問題に苦悩する名家の父親を演じているのだが、男の哀しさ、色気の真髄にふれる新しい表情を見せている。

『二階堂家物語』(c)2018 “二階堂家物語” LDH JAPAN, Emperor Film Production Company Limited,Nara International Film Festival

 なら国際映画祭の映画製作プロジェクトNARAtive(ナラティブ)の作品として、イラン出身のアイダ・パナハンデ監督を迎えて制作された本作。奈良県天理市を舞台に、息子を亡くし、名家の存続に悩む3世代の家族の愛と葛藤を描いた物語だ。

 息子を失ったことで夫婦関係もうまくいかなくなり、妻が出て行ってしまったため、主人公の辰也(加藤雅也)は、母のハル(白川和子)に望まぬ相手との結婚を迫られている。娘の由子(石橋静河)に婿養子をとり、跡を継いでほしいという思いを秘める辰也だが、家族を大切にしたいという価値観と、自分らしく自由に生きたいという気持ちとの間で揺れ動く。

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