竹内結子ら“スピン・ドクター”が魅せる頭脳戦 『QUEEN』が弁護士ドラマの中で異色なワケ
氷見(竹内結子)の衝撃の事実が発覚した『スキャンダル専門弁護士 QUEEN』(フジテレビ系)第2話。ゲストに成海璃子が登場し、セクハラ問題についての物語を展開した。第1話と同じように1つの事件をめぐって解決を促しながら、鈴木法律事務所の人物の謎を徐々に解き明かしていくことで、そのバックボーンを厚くする。従来わかりやすいキャラクターで視聴者の心をグッと掴むことの多い連続ドラマにおいて、このようにほとんど全員が謎めいた印象を受ける作品は新鮮だろう。さらに実際にあったスキャンダルを連想させるケースを描き、より生々しさを感じさせる演出となっている。
今回、鈴木法律事務所は、大手広告代理店人事部長の藤原(国生さゆり)から、人気のクリエイティブディレクターである谷(波岡一喜)が元契約社員の佐藤瑠璃(成海)に対して行ったセクハラ・パワハラ問題について火消しをしてほしいという依頼を受ける。ところが、佐藤は谷からの被害を赤裸々に明かした暴露本を書きつつも、過去に谷と恋愛関係にあったことが発覚する。巻き込まれた出版社もろとも、事態は二転三転しながら鈴木法律事務所を介して複雑に展開するのであった。
本作を見ていると、氷見と与田(水川あさみ)らは話を聞く以外に何をしているのかと感じる視聴者も多かったのではないだろうか。実はその感覚はごく当たり前のもので、氷見らを指す「スピン・ドクター」という立ち位置が非常にわかりにくい立ち回りをするので、このような煙に巻かれたような気持ちになる作品なのだ。しかしこの「スピン・ドクター」の立場がわかると、一転、霧の晴れたように魅力的に感じるのがこのドラマである。
氷見らは、クライアントに対して一番”社会的に損益の少ない道”を指し示す役割なので、依頼主が一切リスクを負わないという訳ではないのだ。そこが弁護士ドラマの中でも異色で、どこかスッキリしない、狐につままれたような気持ちにさせる所以でもある。つまり氷見たちは、”一番損益が少ない”とわかれば作中のように頭を下げさせるなど、一見クライアントの意に沿わないような行動も提案し、実行できる。