『まんぷく』後半戦は安藤サクラの“覚醒”に期待? 6つのポイントをおさらい

 12月28日の回で第13週が終わり、2018年の放送分がすべて終了したNHK連続テレビ小説『まんぷく』(次回は、年明け1月4日から)。つまり、10月から始まった本作も、早いもので既に折り返し地点を回ったということだ。そこで本稿では、これまでの『まんぷく』の物語や展開を踏まえながら、前半戦を終えた時点で見えてきたものや本作の面白さ、そして今後の展開について、改めて考えてみることにしたい。

「ある女性の半生」と言うよりも、波乱に満ちた「ある夫婦の物語」

 映画『万引き家族』の好演が記憶に新しい最中での主演、しかもオーディションではなく制作サイドからのたっての希望ということもあり、やはり安藤サクラの演技に大きな注目が集まった本作。子ども時代の描写がなく、初回からいきなり18歳の女性として登場した福子(安藤サクラ)に早くも期待が高まるものの、第1週から萬平(長谷川博己)が登場し、第3週で福子と祝言を上げるなど、その展開は思いのほか速かった。

 そして、その後は夫婦が一心同体となって、さまざまな困難を乗り越え……よくよく考えてみれば当たり前なのだけれど、そもそもタイトルからして“まんぷく”(萬平と福子)なわけで。実在する女性実業家の半生を連続して描いてきたNHK大阪の制作ということもあり、どこか『あさが来た』、『べっぴんさん』、『わろてんか』の延長線上にあるものを予想していたけれど、このドラマは「ある女性の物語」である以上に「ある夫婦の物語」として捉えるべきなのだろう。その意味では、同じNHK大阪制作でも、むしろ『マッサン』のテイストに近い作品と言えるのかもしれない。

週を追うごとに存在感を増していった、「鈴」というムードメーカー

 すべての予定調和を打ち壊す野心作『半分、青い。』を引き継いでの放送だったこともあり、これまで慣れ親しんだ「朝ドラ」の王道路線を踏襲しているとも言える『まんぷく』は、「安心して観ることのできる朝ドラ」との声も大きい。実際、視聴率も上々のようだ。その「手堅さ」を支えているのは、主演の安藤サクラをはじめ、長谷川博己、福子の姉を演じる内田有紀と松下奈緒、その夫を演じる大谷亮平と要潤、さらには萬平と仕事上で接点を持つ男・世良を演じる桐谷健太など、主要キャストたちの好演だろう。

 けれども、そこで意外だったのは、福子の母・鈴を演じる松坂慶子の存在感が、週を追うごとに増していくことだった。「私は武士の娘です」という、最初はあまりピンとこなかったフレーズも、何度も繰り返し聞いているうちに、いつの間にか馴染んでしまった(最近はそれを逆手にとって、「私は武士の娘の娘」ですという決め台詞も登場している)。そして、後述するように、よくよく考えてみると、かなりシリアスな展開を見せてゆく本作の物語にあって、彼女の明るさは、そのわかりやすい動揺や心配も含めて、ある種の「救い」となっているような気さえしてきたのだ。視聴者の「共感」という意味では、ひょっとすると萬平福子夫婦よりも高いかもしれない。これはちょっと意外だった。

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