年末企画:宇野維正の「2018年 年間ベスト映画TOP10」 次の時代はもう始まっている

 2017年カンヌ映画祭での大紛糾を経て、肝入りのアルフォンソ・キュアロン『ROMA/ローマ』で戦略的に映画賞レースや劇場公開に向けたアクションを起こしているNetflixや、リン・ラムジー『ビューティフル・デイ』、ルカ・グァダニーノ『サスペリア』(日本公開は2019年)、フェリックス・ヴァン・フルーニンゲン『ビューティフル・ボーイ』(日本公開は2019年)とここにきてヨーロッパの映画作家の注目作を量産し始めたAmazonの「映画回帰」とも思えるような新たな動きにも注目。スタジオを持たないNetflixとスタジオを持つAmazonの違いはあるが、今後は劇場作品においてもメジャースタジオとネット系新興製作会社の勢力争いが繰り広げられるかもしれない。先日A24との業務提携を発表したApple(一時期はA24を買収するという噂もあった)や、来年以降いよいよ自社のストリーミングサービスをローンチすると言われているディズニーの動きと合わせて、2010年代に起こった監督やキャストも含むスタッフ面での映画とテレビシリーズの壁崩壊という「革命」を踏まえた先の、次の時代はもう始まっている。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「MUSICA」「装苑」「GLOW」「Rolling Stone Japan」などで対談や批評やコラムを連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。最新刊『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。Twitter

■リリース情報
『君の名前で僕を呼んで』
Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:4,800円(税抜)
Blu-rayコレクターズ・エディション【初回生産限定】:6,800円(税抜)
DVD:3,900円(税抜)
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ
販売元:ハピネット
(c)Frenesy , La Cinefacture

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