ブレイクには前年の“出演増”が必須? 田中圭&中村倫也に続く2018年の“引っ張りだこ俳優”

 ところで、この2018年、彼ら以外に「引っ張りだこ」だった存在は誰がいるだろうか。出演本数の多さでいえば、やはり真っ先に浮かぶのが山田裕貴だ。昨年は10本を優に超える作品に出演していたが、今年も10本を超え、彼の代表作とも呼べる『あの頃、君を追いかけた』も公開された。2019年は朝ドラ『なつぞら』(NHK)の出演も決まっており、今年の中村のような路線をたどるのではないかと期待がかかる。

山田裕貴『あの頃、君を追いかけた』より(c)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ

 『デメキン』(2017)で山田とともに、情に熱いヤンキー姿を披露した伊藤健太郎は、昨年以上に出演作数を伸ばしてきた。『今日から俺は!!』(日本テレビ系)での好演が記憶に新しい彼なだけに、不良役がすっかり定着しているように思えるが、二枚目から三枚目まで、硬派から軟派な人物まで、じつに巧みに演じ分けていた。演技派のホープの一人だと言えるだろう。

 そして、出演作の総数が多いというわけではないのだが、映画界を大いに賑わせた成田凌の存在を語らぬわけにはいかない。『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』のような超大作から『ここは退屈迎えに来て』といったパーソナルな作品にも絶妙にハマり、朝ドラ『わろてんか』(NHK)での好演もまた強く印象に残っている。2019年も『チワワちゃん』『愛がなんだ』などの公開待機作がすでに発表されており、またも映画界を盛り上げてくれそうだ。

成田凌『愛がなんだ』より(c)2019『愛がなんだ』製作委員会

 さらにバイプレーヤー枠としては、吉村界人、岡山天音の存在が目立っていた。硬派なイメージの強い吉村は『モリのいる場所』で、三枚目の役どころを演じることの多い岡山は『銃』で、それぞれガラリと印象を変えた。しかしそれだけでなく、両者ともに主演映画も公開されており、今後さらなる飛躍が楽しみである。

 映画だけで10本以上の出演作が公開され、ドラマも合わせると20本近い作品で顔を見せた毎熊克哉もまた、「引っ張りだこ」な存在だった。現在は朝ドラ『まんぷく』(NHK)への出演で知名度も上がり、時期ブレイク候補の一人に挙げられるのではないだろうか。

 さて、来年は誰が活躍するのだろうか。堅実にキャリアを積み上げていく彼らの奮闘を、見続けていきたいものである。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『スマホを落としただけなのに』
全国東宝系にて公開中
出演:北川景子、千葉雄大、バカリズム、要潤、高橋メアリージュン、酒井健太、筧美和子、原田泰造、成田凌、田中圭
原作:志駕晃『スマホを落としただけなのに』(宝島社文庫)
監督:中田秀夫
主題歌:ポルカドットスティングレイ「ヒミツ」(UNIVERSAL SIGMA)
(c)2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会
公式サイト:http://sumaho-otoshita.jp/

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