勝地涼、腹黒い演技で視聴者の心掴む 『ヒモメン』池目役で見せる企み顔

 土曜ナイトドラマ『ヒモメン』(テレビ朝日系)は、”楽して生きたい”をモットーに、働かないことに全力を尽くすヒモ男を主人公にしたコメディドラマだ。若手演技派俳優・窪田正孝が、働かないことに全力を尽くす青年・碑文谷翔(ひもんやしょう)を演じている。恋人・春日ゆり子(川口春奈)への愛情は誰にも負けない自信があり、彼女のピンチには全力で立ち向かうが意地でも働かない。巷では”翔ちゃん”のあまりのヒモっぷりに「窪田くんでもさすがに無理」という声もあがっているようだが、ヒモを更生させたいゆり子との攻防は非常に面白い。

 そんな中、低堕落な翔ちゃんとは対照的な登場人物がいる。それが勝地涼演じる池目亮介だ。ゆり子と同じ病院に勤務している優秀な医師であり、看護師たちの間でも人気が高い。池目はゆり子に恋心を抱いているのだが、実は執念深い一面があり、視聴者だけがそんな彼の腹黒い部分を垣間見ることができるのだ。想いを寄せるゆり子がヒモ男と交際していると知り、「なぜ俺になびかない」と焦りを見せた彼の邪悪な表情は、翔ちゃんとはまた違ったキャラクターの魅力を感じさせる。

『ヒモメン』舞台挨拶時の勝地涼

 勝地は、テレビドラマ、映画、CM、舞台など幅広い方面で活躍。プロミスのCMで柄本時生と架空のミュージシャンを演じてる姿が印象に残っている方も多いだろう。映画『亡国のイージス』では、第29回日本アカデミー賞新人賞を受賞している。また勝地の存在感が飛躍したのは、2013年に放送された連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK総合)ではないだろうか。”前髪クネ男”と命名されたキャラクターでたった1度しか出演しなかったにも関わらず、視聴者に強烈なインパクトを残している。

 そんな勝地が演じる池目。患者や看護師に分け隔てなく優しく接し、イケメンで高収入でと非の打ち所がない。しかし第1話終盤で見せた腹黒い一面が彼の本性だ。第2話はそんな腹黒い一面を存分に堪能できる回だった。積極的にゆり子にアピールし、翔ちゃんの心をかき乱す池目。ゆり子は、男性を仕事や年収で判断する姉の桜子(片瀬那奈)に翔ちゃんを会わせまいとしている。そんな彼女のために、“彼氏役”を買って出る池目。実際には、ヒモ男を毛嫌いする後輩看護師・浜野このみ(岡田結実)の存在を利用して、ゆり子と翔ちゃんを破局させようと計画しており、翔ちゃんの目の前でゆり子の肩を抱いたり、優秀さをひけらかしたりと得意げである。嫌味のない爽やかな笑顔で、順調な交際を演じてみせる池目に対し、気が気でない翔ちゃんの表情が面白い。周りから見ると非の打ち所のないイケメンだが、視聴者には腹黒い一面が伝わっているので、爽やかな笑顔が企み顔に見えてしまうのも愉快だ。

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