TEAM NACS 音尾琢真、存在感急上昇! 日曜劇場や白石和彌・原田眞人作品に求められる理由

 先日、舞台『PARAMUSHIR~信じ続けた士魂の旗を掲げて』の公演を成功させたTEAM NACS。その中で、今、もっとも注目されているのが、音尾琢真と言っていいのではないだろうか。

 2018年5月だけでも、鈴木おさむが手掛ける映画『ラブ×ドッグ』と白石和彌の『孤狼の血』が公開され、またTBSの日曜劇場『ブラックペアン』の第5話にも登場した。彼が所属するCREATIVE OFFICE CUEのTwitterでも「『ラブxドッグ』公開も『孤狼の血』公開も「ブラックペアン出演決定」も「ジャンボリーのチケット一般発売」も今週末に大集合していたため、今日午前中だけで「音尾琢真」という文字を何回打ち込んだかわからないくらい打ち込んでいる業務状況ですね…」とつぶやかれたくらいである。

 もともと音尾琢真を語るとき、キーワードとして、NACSの末っ子というものが大きかったと思うが、今ではその形容詞も吹き飛ぶほどに、役のイメージがぱっと思い浮かぶようになってきた。男社会の中で縛られ、そこでふんばる男とでもいえばいいだろうか。

 例えば『ブラックペアン』では、主人公・渡海(二宮和也)が働く東城大学のライバル的な病院である帝華大学病院の外科医・松岡仁として登場。内視鏡下手術用支援ロボットのダーウィンの手術を得意とする医師であるが、自身の技術に慢心して、とりかえしのつかないことになってしまうのだが、1話の中でも、彼が帝華大学病院の中の権力闘争にいかにコミットして生きてきたのかが見えるようであった。

 テレビドラマの中で、音尾の持つキャラクターに方向づけたのは、日曜劇場かもしれない。『陸王』の城戸明宏役では、主人公・宮沢(役所広司)が社長を務めるこはぜ屋が取引を望むダイワ食品陸上部の監督を演じた。運動部の監督というと、非常にタイムリーな話題であるが、城戸は怒鳴ったりもする熱血指導者ではあるが、あくまでも選手のことを考えられる人であった。


 映画の中の音尾も、年々、音尾にしかできない役というものが確立されているように思う。『弧狼の血』では、加古村組の組員として、真木よう子演じるクラブのママに絡む吉田滋という役を演じたが、音尾のシーンを映画を見たあとに語らない人はいないのではないだろうか。それほどインパクトがあった。

 日曜劇場でも音尾は欠かせない存在の1人になりつつあるが、白石和彌の作品でも、今や欠かせない存在となりつつある。『日本で一番悪い奴ら』の、いかにも修羅場を潜り抜けてきたといった雰囲気をまとった刑事役を演じたあと、日活ロマンポルノ・リブートプロジェクト『牝猫たち』では、風俗店「極楽若奥様」の店長・野中を演じ、『サニー/32』では特別出演を果たした。白石作品の独特の男の世界にもっとも馴染む俳優の顔になったことが、今の音尾の活躍を後押ししているのではないかとも思える。

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