宇野維正の興行ランキング一刀両断!

初登場3位『ラプラスの魔女』 オールスター映画としての不思議な構造

 『ラプラスの魔女』には他にも、三池崇史監督作品、広瀬すず出演作品、福士蒼汰出演作品といった興味深い側面もあるのだが、作品の内容的にも興行的にも振れ幅の激しい過去の三池崇史作品との比較や、本作では助演に回っている役者の主演作品との比較は、きりがないのでやめておこう。

 それにしても、広瀬すずを筆頭に、福士蒼汰、玉木宏、リリー・フランキー、豊川悦司と、この数年間に限っても複数の主演映画の経験がある役者がずらりと揃った『ラプラスの魔女』のキャスト陣は壮観だ。もっとも、実際に作品を観るとそこまで「豪華キャストが勢揃い」と感じないのだが、それには理由がある。『ラプラスの魔女』は、櫻井翔演じる主人公の大学教授が軸となって、その主人公が様々な登場人物を介して事件の真相を探っていくサスペンス作品。櫻井翔以外に作品全体を通じて出演しているのは広瀬すずくらいで、あとのキャラクターは登場シーンが極端に限られている。もちろん、それは各キャストのスケジュールの都合などではなく、もともとの物語がそうであるわけだが、贅沢なキャスティングが実現した裏にはそのような作品としての構造があるのだ。

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「リアルサウンド映画部」「MUSICA」「装苑」「GLOW」「NAVI CARS」「文春オンライン」「Yahoo!」ほかで批評/コラム/対談を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)。Twitter

■公開情報
『ラプラスの魔女』
全国東宝系にて公開中
出演:櫻井翔、広瀬すず、福士蒼汰、志田未来、佐藤江梨子、TAO、玉木宏、高嶋政伸、檀れい、リリー・フランキー、豊川悦司
原作:東野圭吾『ラプラスの魔女』(角川文庫刊)
監督:三池崇史
脚本:八津弘幸
(c)2018 「ラプラスの魔女」製作委員会
公式サイト:http://laplace-movie.jp/

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