“翻弄する人”松田龍平の魅力とは? 『探偵はBARにいる3』で見せた、新たな一面
パート3では、ほかにも高田の新たな一面が見えた。高田は空手の師範代でもあるから、腕っぷしがめっぽう強い。しかし、今回のパート3では、志尊淳演じる波留の強さにてこずる姿を見せている。
そのことで、高田が一瞬ではあるが、勝つために準備をするシーンがあるのだが、北大にも通い、あれだけケンカも強い高田は、なんの努力もしていないように見えて、実は陰で熱くなるところもあるのだなと思わされた。
以前、この脚本を担当する古沢良太に別の作品で取材をしたとき、古沢自身が、若き頃に「みんなで遊園地に行っても、つまらなさそうにしてると思われたり」「(バイトで)クリスマスに外で七面鳥をたたき売りをすることになっても、周囲からそういう役割には向かないと思われたり」と、誤解をされたことがあると語っていた。
この話は、本人の中にはやる気や熱いものがあっても、人はその見た目や雰囲気で「この人はそういう人ではない」と判断しがちであるということだと解釈したのだが、高田にも、表面的にはわからない熱さのようなものが潜んでいるのだなと感じた。
そもそも、なんでも引き受けて、ときには(というか、かなりの確率で)死を覚悟するような危険に巻き込まれてしまうあの探偵とコンビを組んでいるくらいだから、高田にもそんな探偵と行動を組むモチベーションとして彼なりのいろんな思いがあるはずなのである。そんな高田の内面を描くことが、まだまだ未知数だと思うと、このシリーズをもっともっと観てみたいと思うのだ。
■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。
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■公開情報
『探偵はBARにいる3』
12月1日(金)全国ロードショー
出演:大泉洋、松田龍平、北川景子、前田敦子、鈴木砂羽、リリー・フランキー、
田口トモロヲ 志尊淳、マギー、安藤玉恵、正名僕蔵、篠井英介、松重豊、
野間口徹、坂田聡、土平ドンペイ、斎藤歩、前原滉、桝田徳寿、天山広吉、片桐竜次
原作:東直己「ススキノ探偵」シリーズ
監督:吉田照幸
脚本:古沢良太
音楽:池頼広
(c)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会
公式サイト:http://www.tantei-bar.com/