永野芽郁、スクリーン映えする魅力でブレイク! 『帝一の國』『PARKS』『ピーチガール』の輝き

 超名門校の生徒会長になるために、生徒会という場で政治家さながらの熾烈な争いを繰り広げる高校生たちの姿を描いた『帝一の國』。同じ古屋兎丸作品である、昨年公開の『ライチ☆光クラブ』と同様、若手イケメン俳優のアンサンブル(野村周平と間宮祥太朗、岡山天音は同作から引き続きの起用だ)となっているわけだが、それ以上にコミック色の強い個性的なキャラクターのぶつかり合いに強烈な印象を与えられる。

 そんな中だからこそ、『ライチ☆光クラブ』の中条あやみのように、紅一点のヒロインは実に映えるのである。本作で主人公・帝一の幼馴染でもあり恋人でもある美美子を演じるのは永野芽郁。つい先日公開された『ひるなかの流星』に続き、またしても彼女は、スクリーンを独占するのだ。(引用:永野芽郁の圧倒的ヒロイン感に興奮! 『ひるなかの流星』すずめ役の魅力を熱弁

 とはいっても、彼女の出番は決して多くない。主人公の通う名門校は恋愛禁止で、しかも生徒会選に不利になるスキャンダルを避けるために、夜な夜なヒロインの家の玄関先で糸電話を使って会話をするというシュールな光景が数度あり、そのあとは料亭での食事シーンと、終盤に再登場といったところか。あとエンドロールの前半でギターを提げて登場するオマケも。

 それにしても、まずこの糸電話シチュエーションの見事さだ。原作では窓辺だったものが、ベランダに移ることでより一層『ロミオとジュリエット』のジュリエット感が増し、ヒロインへの愛着を高める。そして数回登場するたびに、衣装が異なり、「ニコ☆プチ」モデル出身の永野芽郁を起用する根拠を強めるのだ。また、糸電話というアイテムは原作通りではあるが、映画になれば『たまこラブストーリー』を想起させるものがあるので何故だかドキドキしてしまう。

 そして、終盤にはお転婆なキャラクター設定を決定付ける華麗な蹴りを披露するわけだ。生徒会選当日に部屋に引きこもった帝一を叱咤激励するために、彼女はドアを蹴破る。ここでは蹴りを入れたあとの姿しか映らないのだが、そのあとの帝一と因縁のライバル・菊馬の決闘場面では華麗な蹴りでふたりを鎮めるのだ。それまで見せてきたお嬢様キャラとのギャップは、この映画における彼女の存在感を一瞬で強める。

 とはいえ、紅一点の彼女ではあるが、劇中では正ヒロイン格を巡って予想外なライバルが出現する。それは帝一の右腕でもある榊原光明を演じる志尊淳に他ならない。名前の“こうめい”に相応しく、適切な助言と優れた洞察力で、帝一の後押しをする彼は、猫言葉や屈託のない笑顔で愛想を振りまき、とにかく可愛いのだ。ある意味で本作の正ヒロインの座を欲しいままにしているではないか。

 これは危うし、といった感じか。しかし、永野芽郁は『俺物語!』『ひるなかの流星』で正ヒロインとして堂々と映画を独占するのはもちろんのこと、サブヒロインとしてでも正ヒロインを凌駕し、観客の視線を奪い取るだけの能力を持ち合わせているから問題ない。現在公開中の『PARKS』と、5月20日公開の『ピーチガール』の2作は、まさにそれが発揮されているのだ。

 『帝一の國』より1週早く封切られた瀬田なつき監督の『PARKS』。井の頭公園100周年となるこの映画は、終始吉祥寺を舞台にしたファンタジックな青春譚であった。永野演じる女子高生のハルが、父親の遺品から見つけた50年前の写真を頼りに吉祥寺を訪れ、かつての父の恋人の女性が住んでいたアパートに暮らす主人公・橋本愛と、その女性の孫である染谷将太と出会う。そして、偶然見つけたオープンリールテープに記録された音楽を、現代に甦らそうとするのだ。

 ストーリーテリングは橋本愛を中心に進められるので、事実上サブヒロインの位置にあるとはいえ、吉祥寺が舞台となれば永野芽郁の輝きが倍増するのも納得できる。何故なら彼女がスカウトされたのは吉祥寺のサンロードであり、先日の『ひるなかの流星』でも、田舎から出てきた彼女は吉祥寺の叔父の家に暮らし始めるのだ。もはやホームグラウンドともなれば、街の良さを引き立てながら、自身も高める術を知っているかのように伸び伸びとした演技を見せる。『ひるなかの流星』で恋に悩み、立ち止まっていた吉祥寺駅前の横断歩道を、本作の彼女は橋本愛と一緒に笑顔で走り抜けるのだ。

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