『やすらぎの郷』から目が離せない! “ドタバタコメディ”を成立させた役者たちの人生の厚み

 スタートする前は、芸能界で活躍したテレビ業界の人たちが、老人ホームで穏やかな暮らしを見つけていく静かなストーリーなのかと思っていた。が、実際に見てみると、いつまでも困ったスターや女優、俳優たちが繰り広げるドタバタコメディと言った様相で、当初の予想がまったく外れていたことがわかった。

 このドラマを見ていると、年を取ることは、欲望が消えて、穏やかになるわけではないと知ることができる。むしろ、その人のもっている資質が強くなっていくのかもしれないと思える。もちろん、登場人物たちがテレビ業界で活躍してきた業の深いキャラクターばかりだということはあるかもしれないが、70代80代の登場人物たちを妙に綺麗で無臭化した人間に描くのではなく、下世話さや欲望を否定せずに描いていることで、人間っていつまでたっても面白いし、こんな風に自由すぎるくらいに自由に年齢を重ねることって面白そうだなと、何かとても明るい気持ちになってくるのだ。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
『やすらぎの郷』
テレビ朝日にて、毎週月〜金曜日 12:30〜12:50放送
出演:石坂浩二、浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、草刈民代、五月みどり、常盤貴子、名高達男、野際陽子、藤竜也、風吹ジュン、松岡茉優、ミッキー・カーチス、八千草薫、山本圭
作:倉本聰
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginosato/

関連記事