綾野剛、演技の凄みは“顔芸”にありーー『日本で一番悪い奴ら』で見せた“興奮表現”コントロール術

 豊富なバリエーションの顔芸で、振りきれた芝居をする綾野。俳優としてはまだまだ経験が浅い、お笑い芸人の植野行雄(デニス)とミュージシャンのYOUNG DAIS(『TOKYO TRIBE』)の好演は、綾野のこの熱量のある、セリフに頼らない、メリハリのある芝居によって引き出されたものだと想像がつく。主役に目の前でこんな芝居をされたら、誰だって刺激を受けて、食らいつかねば! と必死になるしかないだろう。

 綾野は、ほぼ出ずっぱりでテンションの高い芝居をしたことで、主役として作品を見事に牽引した。もちろん、このアプローチ方法は、作品が『日本で一番悪い奴ら』だったから取られたもの。2014年の主演映画『そこのみにて光輝く』は内へ内へと入り込む芝居をし、「コウノドリ」では漫画原作の連ドラの主人公らしく、視覚的にわかりやすいキャラクターづくりをおこなっていた。作品によって最適のアプローチ方法を採択する綾野剛の変貌が楽しみだ。

■須永貴子
インタビュアー、ライター。映画を中心に、俳優や監督、お笑い芸人、アイドル、企業家から市井の人までインタビュー仕事多数。

■公開情報
『日本で一番悪い奴ら』
公開中
原作:稲葉圭昭「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(講談社文庫)
監督:白石和彌
脚本:池上純哉
出演:綾野剛、中村獅童、YOUNG DAIS、植野行雄(デニス)、ピエール瀧
配給:東映・日活
(c)2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
公式サイト:www.nichiwaru.com

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