山田涼介主演『鋼の錬金術師』は世界的な“漫画原作映画”となるか? アクション×CGの融合への期待

 松本大洋の同名漫画を原作とした実写映画『ピンポン』(2002年)のヒットで、日本映画界に“漫画原作映画”の潮流を生み出した曽利文彦監督がメガホンを取るのも、注目すべきポイントだろう。曽利文彦監督はCG監督としても世界的な評価を得ており、『ピンポン』では卓球のシーンの90%ほどをCGで表現していたことを明かし、その新しい手法が話題となった。当時のインタビューで曽利監督は、「あとで球をCGで入れたんですけど。結局それはオマケみたいなもんで、あの素振りの迫力と美しさがすべてでしたね。球がない中で撮影してたわけですけれど、その時点でほとんど完成品に近い絵ができてました」と語っている。(参考:映画.com/曽利文彦監督 インタビュー)『ピンポン』が成功したのは、絵的な派手さを重視した俳優のアクションを、CGを活用することによってリアリティのある映像として成立させたのが大きいだろう。言い方を変えれば、漫画ならではの超現実的な表現を、違和感なく実写映画に落とし込むことに成功したのだ。その手腕は、『鋼の錬金術師』でも大いに活かされるはずだ。また、エドワード・エルリックの弟であり、鎧の体を持つアルフォンス・エルリックの描写について、監督は「今は言えないが、ファンの方たちに十分満足していただけるものをお見せできる」と自信をのぞかせている。『ピンポン』の発表から10余年、さらに発展を遂げたCG技術は、ファンタジー作品をどこまで表現できるのだろう。

 イタリアでの長期ロケを行い、日本の漫画原作映画としては異例のスケールで製作される本作は、ワーナー・ブラザース映画の配給で、世界戦略も視野に入れているという。昨今では『ちはやふる』や『アイアムアヒーロー』など、漫画原作の映画が国内で高い評価を得ることも増えているが、『鋼の錬金術師』は世界の映画ファンにも訴求する“娯楽大作映画”となりうるのか。山田のアクションと曽利監督のCGのハイレベルな融合が、日本映画界に革新をもたらすことを期待したい。

(文=松下博夫)

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